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Qリポートです。若手の医師たちが救急や災害医療を学ぶための「メディカルラリー」というイベントがあります。それに初挑戦する若き研修医たちと、熱い思いで指導するベテラン医師に密着しました。

走っていく研修医たち「1、2、3! どうしました?巡視してたら息してなくて、呼びかけても反応がなくて。」

救急医療や大規模災害。命を脅かす現場で人々の命を救うべく活動する医師たち。その技術はどのように培われるのでしょうか。日曜日。北中城村の病院で大規模なメディカルラリーが開催されました。

メディカルラリーとは、医師や看護師、救急救命士など救急医療に携わる人々が知識や技術を競う競技会のこと。チャレンジャーは、4月に医師になったばかりの1年目研修医たちと救急医療専門学校生1チーム4人。全部で8チームの32人。

研修医教育のメディカルラリー

指導医・村上さん「出来る限りのものを用意したつもりです。色んなものを持って帰ってもらえると思っているので」

医師の村上大道さんは救急医療のエキスパート。今回のラリーの発起人です。

指導医・村上さん「医療業界では研修医やスタッフをどう育てるかっていうのが大事。人の命を預かるので安全に成長してもらわないといけない。シミュレーション教育が非常に大きなウェイトをしめるツール。」

指導医・村上さん「チームビルディングとか最近重要視されているコミュニケーションスキルなんかも併せて評価できるのはメディカルラリーなので、勝ち抜くコツは確かな知識と確かな技術と患者さんに対する優しさですので、皆さんその3つを忘れず。」

研修医・萩原さん「取り敢えず楽しむことを優先して頑張りたい。患者さんへの配慮、症状や本人の様態に飛びつきがちなので配慮して取り組めたら。」

チャレンジャーたちに用意されたのは4つのシナリオ。チームで協力し、救うべき患者をいかに迅速かつ正確に、初期診療を行えるか。各ブースでは「指導医」が厳しい目で採点を行います。自分たちの競技が終わったあとも他のチームを見学し、学習します。

今回チャレンジャーたちを最も苦しめたのは… 商店街で通り魔事件が起きたことを想定したケース。現場には大勢の、血を流した人々が倒れています。

「助けてください、お願いします。」研修医「呼吸ありますか? …呼吸ないね。」「えーっと…脈が…(助けて下さいお願いします!)向こうが呼吸あり…(早くこっち見て下さい!)脈あり…(お願いします!)」

研修医教育のメディカルラリー

医療者よりも多い傷病者を前に、右往左往。研修医たち「ああダメだ、わかんない。全然わかんない。」

指導医・村上さん「ここは基本的には研修医の先生にはかなり厳しい設定にしてます。手が止まってしまうようなシチュエーションを準備して予想どおり手が止まってます。」一体何が問題だったのでしょうか。指導医・村上さん「実は皆さんにやって欲しいことは2つ。ひとつは災害医療をどうするか。医療における災害っていうのは、需要と供給のバランスが崩れているのが災害なんですよ。」

救急医療では、こうした大規模な被害がでている現場を「災害」と呼びます。しかし、状況に圧倒されて目の前の患者をみるのに必死になるあまり応援を呼ぶ、環境整備をする、などの先ずはじめに行わなければならないことに思い至らなかったチームが殆ど。

指導医・村上さん「残念ながら出来てはいないですけど、終わった後の研修医の先生の顔とか、あちらからの質問とかを聞いている限りではこちらが想定している教育の効果というのは充分、今のところは出ているのかなと考えています。」

指導医・村上さん「知識。技術。優しさ。優しかったですか皆さん?」

研修医教育のメディカルラリー

これまで教わってきた医療を行う、それだけでは患者たちを救えない。自分たちに足りないものに改めて気づかされます。 

「おめでとうございます!」優勝したチームは表彰されました。

研修医「疲れました。反省点も多かったんですけど、やる前とやった後では全然見方も違うしまだ身についてないと思うが勉強になった。有意義な時間を過ごせて良かった。」

指導医・村上さん「どちらかというと「出来ない」ことから学んでもらうのがメインになるんじゃないかと思っていたけど、どのブースをみても研修医は与えられた状況で今できる最善の方法を探すって形で、こちらの想像以上のことをパフォーマンスしてくれたので、それに関しては大きくて且つ嬉しい誤算でした。」

医療行為には「50%できる」は存在しません。「出来た」か「出来なかった」か。人命がかかっていて、その判断を誤れば人の命が失われてしまう事もあるためです。

医師たちの取り組みは日々、続きます。