Qプラスリポートです。先日ショッキングなデータが発表されました。こちらは、県内で起きた児童虐待の件数ですが、昨年度は、691件の虐待が確認され、最多だったおととしに次ぎ、2番目に多い数字となりました。
3年前には宮古島で痛ましい死亡事件もあって、深刻な事態も招いています。家庭でおきる児童虐待に遭う子どもたちを救おうと、今月、児童相談所と警察が子どもたちを守る手段である「臨検」の合同訓練を行いました。
家庭という閉ざされた空間から子どもたちを救い出すために求められていることとは何なのか、考えます。
職員「お母さん、もう今回、裁判所から許可状を頂いていて、何度もお母さんが立会いも、出頭命令も聞かなかったので」
母「用事あるんです。きょうは。何ですか。帰ってください」
これは児童相談所と警察が児童虐待の疑いがある家庭に立ち入る臨検を想定した訓練の場面です。今月6日、うるま市の県警察学校で行われたこの訓練。なぜ臨検の訓練が必要なのでしょうか?そこには家庭という閉ざされた空間で起きる虐待に、第三者が目を光らせることの難しさが挙げられます。
県内では3年前、宮古島で痛ましい児童虐待の事件が発生しています。2015年7月、宮古島市のアパートで、父親が当時3歳の娘を床に突き倒すなどの暴行を加えました。娘は頭を強く打ち、頭蓋内損傷により死亡したのです。
日常的に行われていた虐待。児童相談所もこの家で起きていることを知っていて、対応をしている最中での事件でした。家族が引越し、相談所間での連携が取れていなかったことなどが子どもの保護を遅らせ、最悪の結果を招いてしまいました。
本村真教授「どこかの時点で子どもを一時保護すべきだった。(Q、本来、臨検が行われるべき案件だった?)時代的に臨検自体、実際に全国でも年に数件しか適用されない時期だった」
臨検はあくまで最後の手段。通常、相談所は通報などにより虐待の疑いを認知した場合、最初に家庭訪問を実施します。
しかし、面会を拒否する保護者も。すると、出頭要求、立入調査、再出頭要求という段階を踏み、子どもの保護を図ります。しかし、すべての要求を拒否する保護者もいます。そのときに裁判所の許可状を伴い強制力のある臨検が行われることになるのです。
本村真教授「どの親御さんも多くの場合は、自分の思いとしては子どもの為を思って色々な子どもへのかかわりをしていて、基本的に外部のよそ者に口出ししてほしくないという思いはお持ちの場合もあるとも思うんですけれども、(臨検は)支援ベースの関わりだけでは(子どもの安全が)確保できないという場合に、強制力を持ってでも子どもの安全確保を優先するという中で、整備されてきた手続き」
自宅の中に入った職員。激しく抵抗する母親役から子どもを保護しました。
職員「子どもたちあんなにやせ細ってどうしたの?」
母「今、病気しているからでしょ。だから寝ていたさ。休ませてたさ」
職員「でも病気していてもお金が無いから連れて行けなかったんでしょ?」
母「お金が無いのに、あんたが関係あるの?」
職員「私たちは子どもたちの安心・安全のことを考えているからね。一度保護したから、もう安心してください。とりあえずお母さん、きょうは落ち着いてね。これから私たちは、お母さんと一緒に、今後どうしていくのか検討していかなければならない」
県中央児童相談所相談班・新垣光主幹「児童相談所は子どもを最後の砦。ただ児童相談所単独ではどうにもならないので、今回のように弁護士の先生、警察の方々の協力を頂いて、チームで子どもの安全・命を守っていく」
児童虐待は家庭という閉ざされた空間で起きています。外から見えにくい虐待から子どもたちを守るため、児童相談所と警察は訓練を重ね連携を強めています。