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県内企業の様々な挑戦をお伝えする経済コーナー「Qビズ」です。今回は医療格差を解消しようと、アフリカでビジネスを展開する県内企業を紹介します。キーワードは「ジェネリック医療機器」です。

伊波「実はこれ、マウスじゃなくてエコーなんです」

Qビズ ジェネリック医療機器の可能性

専門学生の皆さんが手に持っているのはエコー(超音波スキャナー)。ノートパソコンにUSBで接続してパソコン画面にエコー画像が表示される仕組みです。実はこのエコー、今年から授業に導入されました。

Qビズ ジェネリック医療機器の可能性

琉球リハビリテーション学院教員・喜屋武龍介さん「価格自体が高くないので、数を増やして、なるべく多くの学生が長い時間使えるように目指している」

卒業後、理学療法士を目指す学生にとって、エコーを扱える技術は就職にも有利になると言います。

この機器を開発・販売しているのが那覇市にある「レキオ・パワー・テクノロジー」の河村哲社長。実はこのエコーは特許の切れた技術をもとに開発された「ジェネリック医療機器」と呼ばれています。特許の切れた技術を活用することで、価格を一般的な超音波画像診断装置のなんと10分の1以下にまで抑えることができるのです。

Qビズ ジェネリック医療機器の可能性

日本ではまだ聞きなれない、「ジェネリック医療機器」。しかし医療界の価格破壊ともいえる、こうした機器が今、世界の医療を変えようとしているのです。

レキオ・パワー・テクノロジー CEO 河村哲さん「医療機器以前にまず医者がいない」

開発のきっかけは、河村さんが、かつてJICAのプロジェクトに参加した際、スーダンで見た医療の現場でした。

Qビズ ジェネリック医療機器の可能性

河村さん「ドクターカーというコンセプトで、医療機器と現地のドクターとが車に乗って田舎町を巡回診療するプロジェクトを2015年までやってました。医者に医療機器を持たせて何かやるにしても、それだけではどうにもならない。そうすると医者のレベルでない人たちが使えるような機械を作っていかないといけない」

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河村さんが訪れたアフリカでは、医師の数が圧倒的に少ないため、医師以外の医療関係者が簡単に扱えて、かつ低価格なエコーが求められていました。

Qビズ ジェネリック医療機器の可能性

河村さん「アフリカで目の当たりにした一番の課題が妊産婦死亡率、乳幼児死亡率が日本と比べると100倍以上高い。そういった所に使ってもらいたい。2015年に最初の機械を作って導入した」

医療機器分野は畑違いでしたが、途上国でのドクターカープロジェクトで得た経験や県内の医師のアドバイスをもとに低価格のエコー機器を開発。現在、ケニアやスーダンなど医療設備が不十分な途上国を中心に販売されていて、現在およそ50ヶ国でも導入が進められています。

将来的には一般の人々にも開放し、セルフ検診などを行えるよう機械を提供していきたいと河村さんは話します。

河村さん「日本の医療費の問題や世界の問題が徐々に解決していくのであれば、我々としてもやりがいをもってやれる仕事。これからの医療機器を大きく変える革命」

Qビズ ジェネリック医療機器の可能性