Qプラスリポートです。政府は来月にも辺野古への土砂投入を始める構えです。玉城知事はどうすればよいのか、試練の一カ月を記者とともに振り返ります。
就任から1カ月が経過した玉城知事。
玉城知事「私は政府に対し、対話によって解決策を導く民主主義の姿勢を求め、普天間飛行場の一日も早い閉鎖返還、辺野古新基地建設の阻止に向けて、全身全霊で取り組んでまいりたい」
翁長県政から引き継いだ最大の課題、辺野古新基地については、「対話」による解決を訴え、1カ月で官邸を2度訪問。また全国メディア、海外メディアに向けての情報発信も重視しています。
“対話路線”を掲げる玉城県政の滑り出しについて、琉球大学の島袋純教授は次のように評価します。
島袋純教授「知事になってすぐに何をするかっていうことについて、そんなに考えている時間もない中では、非常に多くのことを今のところ1カ月でやっていってるんじゃないかなと」
玉城知事「安全保障の負担は全国で担うべきであり、民主主義の問題であるという認識の下、早急に話し合いの場を設けていただきたいと思います」
一方、政府は。
安倍総理「今後とも、県民の皆様のお気持ちに寄り添いながら、基地負担の軽減に向けて、ひとつひとつ着実に、結果を出していきたいと考えております」
安倍総理は玉城知事との初めての面談で、「県民に寄り添う」とした一方、「結果を出す」とも述べました。
Q.(政府は辺野古のことについて対話の余地はないと言ってるようにも受け取ったんですけども知事としては?)
玉城知事「我々から自ら対話を閉ざすことは致しません」
この5日後、県に対し法的対抗措置を取った政府。1日には現場での作業を再開させ、閣僚からも、埋め立てに向け前のめりな発言が相次ぎました。
岩屋防衛大臣「私どもはできる限り早くですね、工事を再開をさせていただいて」「この辺野古への移設を完遂させて、本当の目的である普天間の全面返還、これを何としてもなし遂げたい」
菅官房長官「東京ドーム100個分という普天間が返還される」「その結果として沖縄のまちづくりに大きな弾みとなるのではないでしょうか」
そんななか、きのう新たな動きが。政府から官房副長官、県からは副知事を対話の窓口とし、1カ月間の「協議」に入ることが明らかになりました。
玉城知事「あすからでもすぐ連絡を取りましょうということにしました」
島袋純教授「政府側の誠意がある部分を見せたいということ、そういう点では、政府の側としては乗りやすい提案だったんではないかなと思います」
似たような協議は、3年前にも行われました。5回の話し合いが持たれましたが…
翁長前知事「個別に歩み寄りはなかった。魂の飢餓感という言葉を使っているが、やっぱり心に空白が出来ている。沖縄と日本の安全保障を合理的、理性的に話し合うのは難しいのではないかと」
政府との話はかみ合わず、協議は決裂。県側は結論ありきの相手との対話の難しさを学びました。また3年前、政府は協議の間、辺野古での作業を一時停止しましたが、今回は作業を止めない方針です。
島袋純教授「今回も協議するっていうだけでどういった手続きで進めるのかっていうところにつきましては、一向に我々に情報が伝わってこないので、おそらくただ、言いたいことを言うだけの場になってしまうのではないかと、そうすると、歩み寄りというのはないですよね」
政府が強行姿勢を崩さないなか、玉城知事がどのように打開策を見出していくのか、今後が注目されます。
ここからは久田記者と一緒にお伝えします。久田さん、協議が始まるということですが、それで解決するのでしょうか。
久田記者「確かに難しいですね。しかし、玉城知事は対話を求めるよりほかに良い手があるかというと、それも厳しいですね。VTRのなかで島袋純教授がおっしゃっていましたが、「政府としては乗りやすい提案」というのはその通りだと思うんですね。協議のテーブルにつくけども、何かを変えるつもりはない、というような政府側の姿勢が垣間見えますね」
協議が始まる一方、玉城知事は、法的な争いの部分で、第三者機関に審査を申し立てる手続きを進める、とも語っていました。これはどういうことでしょうか。
久田記者「はい、法学者などの有識者で構成する「国地方係争処理委員会」という機関に対して、埋め立て承認撤回を無効化した、国の対抗策は不当だと、訴えることになります。2015年と2016年にも県が審査を申し出たことがある審査機関で、2016年の時は、結局法廷に議論が移っていったわけです。県としては、政府との協議がうまくいかないことは百も承知というなかで、法廷闘争も視野に入れざるを得ないという厳しい状況に置かれています」
また玉城知事は来週には訪米しますね。
久田記者「はい、ですが、アメリカはきょう中間選挙の結果が出たばかりで、政府機関や議会を相手にした訴えというのは難しそうです。」
どんな成果が得られるか、注目しましょう