Qプラスリポートです。こちらに紹介されている写真。今から40年ほど前に撮影された「宮古島の祭祀」の模様です。今だからこそ公開されたともいえるこの写真には、いくつもの物語が隠されていました。
先週金曜日に始まった写真展。1970年代に撮影された写真には、今では姿を消してしまったものもあるという宮古島の祭祀が映し出されています。
宮古島の祭祀は、各地域の女性によって行われていたものがほとんどで、部外者が祭りに入ることは許されないばかりか、地域の人でさえも目にすることがタブーとされていたものが少なくありません。
撮影したのは県出身の写真家、比嘉康雄さんと静岡県出身の写真家上井幸子さん。なかでも上井さんは、県外出身であるにも関わらず、地域の人でさえ入ることができなかった祭りを数多くカメラに収めました。
比嘉豊光さん「これは正月のニガイ(願い)。村中の人が御嶽に来て、自分たちの願いをもって集まってる。(Q.男性だと撮れない?)男性でここに立ってたら、おばーたちに怒られるよ。ここに神様がいるって。(Q.それを県外の方の上井さんが撮れるっていうのは?)びっくりだよ。これは普通ではないよ。誰でも撮れない写真。」
写真展の主催者の一人、比嘉豊光さん。展示されている写真の中には祭祀のタブーを犯していると思われるのではという思いから、展示を迷った写真もあるといいます。
比嘉豊光さん「これをアップで撮ったらまずい。それを放映したらちょっと困る。それぐらいタブー性がある写真。だから撮れるということはそれほど多くない。実をいうとやっちゃいけないことをやったんだはず。だから発表もできなかったんだかもしれない」
事実、祭祀の写真を数多く撮影してきた上井さんですが、これまで写真が世に出ることはほとんどありませんでした。2011年に、上井さんが亡くなり、遺品を整理していた際に数多くの写真が出てきたとがきっかけとなって、今回の写真展が開催されたのです。
日曜日に開催されたシンポジウム。そこに急遽パネリストとして登壇したのが、宮古島で新聞記者をしていた佐渡山政子(せいこ)さん。
佐渡山政子さん「たとえ地元の人でもたまに行って写真を撮るのは煙たがられたりするんですけど、島に入って島の人と仲良くなってこそこういう写真がとれたんじゃないかんと思います。本当に地元の人ができなかったことをここまでやってくれたというのは、本当にありがたいというか感謝なんですよね」
多くの祭祀をカメラで収めた上井さん。祭祀だけではなく、祭祀を行う地域の人々の普段の様子も撮影していました。今となっては途絶えてしまったものもある祭祀の様子を、私たちが目にすることには大きな意味があると比嘉さんは話します。
比嘉豊光さん「今回いろんな人たちに見てもらって新たに自分たちの祭祀の精神文化というかそういうものをですね、もうちょっと皆さんでよみがえらせて写真を使って、自分たちの郷土の文化、アイデンティティのことをですね、考えてほしいなと思います」
写真展は県内では7日まで。来年1月には宮古島で行われることになっています。40年の時を経たからこそ、そして残念ながら祭りが途絶えたからこそみられる貴重な祭祀の写真展に足を運んでください。