県による辺野古の埋め立て承認の撤回について、10月30日、国は撤回処分の効力を一時停止すると表明しました。
玉城知事は第三者機関に審査を申し出る方向で調整に乗り出すなど、辺野古を巡る国と県の対立が再び激しさを増しています。
国土交通省の発表を受け、玉城知事は「内閣の内部における、自作自演の極めて不当な決定と言わざるを得ないと申し上げましたが、まさにそのような状況となり、審査庁として、公平性、中立性を欠く判断がなされたことに強い憤りを禁じえません」と、都内で厳しい表情で会見した玉城知事。
辺野古の新基地建設を巡っては、2018年8月に県が埋め立て承認を撤回。これにより工事は停止していました。しかし、工事を再開したい沖縄防衛局は今月17日、国土交通大臣に対し、撤回の効力を一時的に停止するよう申し立てていました。
そして30日、石井国交大臣は「(沖縄防衛局による)執行停止の申立てにつきまして、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出された書面の内容を審査した結果、承認撤回の効力を停止することと致しましたので、ご報告致します」と話し、沖縄防衛局の申し立てからわずか13日で撤回処分の効力停止を発表。岩屋防衛大臣は「工事の再開に向けた準備が整い次第、速やかに再開したい」と話しました。
全面的に沖縄防衛局の申し立てを認めた理由について、石井国交大臣は「工事の中止は日米間の信頼関係や同盟関係にも悪影響を及ぼしかねない」と説明。国交省の決定書は31日に沖縄防衛局に届く見込みで、決定書が届き次第、県の承認撤回は効力が停止され、埋め立て工事の再開が可能となります。
玉城知事は会見で「効力の執行停止決定がなされたとしても、承認に付した留意事項に基づき、沖縄防衛局は沖縄県との間で実施設計、および環境保全対策等に関する、事前協議を行う必要があります。事前協議が整うことがなく工事に着工することや、ましてや土砂を投入することは、断じて認められません」と語気を強めました。
県は今後、第三者機関である国地方係争処理委員会に審査を申し出る方針ですが、申し出た場合でも埋め立て工事の再開は可能です。
工事が止まっている間静けさを取り戻している名護市キャンプシュワブのゲート前では「とにかく格好だけ付けようと思っているんじゃないでしょうかね」「いっぱい、色々問題抱えているわけでしょう、地盤が弱いとかね。なんでもやるんだぞと、格好だけつけようということだと思う」の声が聞こえました。
国の機関の申し立てを国の機関が認めた今回の事態は、予想されていたことだと冷静に受け止めました。一方で、今後の工事はゲート前からの資材搬入だけでなく、海からの土砂の搬入も加わるため、今までの抗議運動で対抗することは難しいと警戒していました。