伊波「楽園の海案内は水中ビデオカメラマンの長田勇さんです。今回のテーマは「台風の爪痕」です」
長田「台風24号と25号が通過した沖縄。海の中がどうなってしまったのか、心配だったので見に行ってきました」
伊波「どんな様子なのか早速見ていきましょう」
長田「今回、見に行ったのは、糸満沖のサンゴ礁。フィッシャリーナからボートに乗ります」
伊波「港の出口が、破壊されてますね」
長田「それほど、凄まじい力が加わったようです。早速、海の中に入ってみると・・・見えてきたのは、白い塊。これ、何だか分かります?」
伊波「なんでしょう?」
長田「実はこれ、テーブルサンゴひっくりかえってしまっている状態なんです」
伊波「海の中にあるサンゴまでこんな状態になってるんですね」
長田「このままの状態では、しっかりと光合成ができないため、やがて死んでしまいます。こちらも同じようにひっくりかえったテーブルサンゴ。別のテーブルサンゴの上に乗ってます」
伊波「こちらも白く、色が抜け始めてますね」
長田「下のサンゴにも影響が出てしまうので、持ち上げて、よけておきました」
伊波「長田さん、テーブルサンゴは大きいために台風の影響を受けやすいんでしょうか?」
長田「そうですね。テーブル状の形は、大きなうねりに煽られて、影響を受けやすいのかもしれませんね。割れているサンゴの姿も」
伊波「悲惨な状態ですね・・・・」
長田「こちらはエダサンゴの痛々しい姿」
伊波「折れたところが白くなっていますね」
長田「枝の途中から折れてしまっているエダサンゴを多く見かけました。でも、全体の5%にも満たない数」
伊波「そうなんですね!安心しました」
長田「割合で言ったら、断然活きているサンゴの方が多かったので、私も一安心しました。続いては、前回楽園の海で紹介したやんばるの海。こちらのサンゴも心配だったので、辺土名漁港の沖合いで潜ってきました」
伊波「やんばるの海の状態、気になりますね」
長田「潜ってすぐに、この光景が目に入って来たので、嬉しかったです」
伊波「まったく被害がないように見えますね」
長田「でも、良く見るとテーブルサンゴの半分が欠けてなくなっています。相当強い力を持ったうねりの影響を受けたのでしょう。近くのくぼみには、割れた一部が残っていました」
伊波「他にも被害はあったんでしょうか?」
長田「はい、サンゴは水深5mの棚の上に多く生息しているんですが水深10mにある谷間に降りてみると、サンゴのかけらで覆いつくされてました・・・」
伊波「ひっくりかえってしまったテーブルサンゴの姿もありますね」
長田「まだ色も付いていて、生きているエダサンゴも転がってしまっています。水底に置かれたままの状態がつづくと、砂がかかってしまったりして、大半は死んでしまいます」
伊波「少しでの生きのびで欲しいですね」
長田「今回一番びっくりしたのが、アカヒメジやノコギリダイが前回取材に行った時と同じ場所に居た事。あの強烈なうねりの中、どうやって過ごしていたんだろうって思います」
伊波「確かに。海の中の生き物たちの生命力って本当に強いんですね」
長田「10年に一度と言われる被害をもたらした、台風24号。海の中に関しては、サンゴにも多少の被害はありましたが、比較的少なく済んでよかった!と思ったのが正直な気持ちです」
伊波「被害が少なくて本当によかったですね。ただ、また新しい台風が発生しましたよね」
長田「そうですね。この時期にまた出来るとは思っていなかったです。沖縄のサンゴ礁に影響がないといいなと思います」
伊波「長田さん、今日もありがとうございました。以上、楽園の海でした」