工事再開へ、国が沈黙を破りました。県民に寄り添うという言葉とは正反対に思える対応です。17日、辺野古の工事再開に向けた法的な対抗措置に着手しました。
県民の目にどう映るでしょうか翁長前知事の死去、埋め立て承認の撤回、短期決戦となった県知事選挙と、激しく政治が動くなか、約2カ月間、つかの間の静寂を保ってきた辺野古の海。17日、国はこの静寂を破る「対抗策」に着手しました。
岩屋防衛大臣「行政不服審査法に基づいて埋め立て承認の撤回は取り消されるべきとの審査請求と執行停止申し立てを」「国土交通大臣に対して行ったところです」
工事を再開させるため対抗措置を検討していた沖縄防衛局は17日午後1時半ごろ、埋め立て承認撤回を取り消すよう求める審査請求を国土交通大臣に提出しました。
同時に、審査の間、暫定的に「撤回」の効力を停止するよう申し立てました。安倍総理との面談で、対話を求めたばかりだった玉城知事は。
玉城知事「県知事選挙で改めて示された民意を踏みにじるものであり、到底認められるものではありません」
県民は(男性)「(今の状況は)大変もどかしく思います。どうしても基地は全国で平等にやってもらいたいです」
県民は(女性)「(国との法廷闘争を)やっていかなければいけないことなのかと思ったり、もうちょっと疲れたなという感があります」
国は、2015年10月に翁長前知事が埋め立て承認を取り消した際にも、同じ手続きを取り、その時は13日後に埋め立て承認が復活しその後、法廷闘争にもつれこみました。
この審査請求制度を国が利用することには、当時も今も、根強い批判があります。不服申し立てができるのは、権利や利益を侵害される「人」とされ、個人が社会保険料や税の徴収などに対する不服を申し立てる事例がほとんどです。
本多滝夫龍谷大学教授「(Q:なぜ沖縄防衛局から国への審査請求ができる?)国が、自分も普通の事業者、私人と同じだというふうに考えているからだと思うんですね。しかしながら、行政不服審査法はその1条で、目的として、国民の権利救済のためと書いてありますので、国はどう考えても『国民』にはなれないわけですので、従って国が行政不服審査法に基づく審査請求を使うというのは、やっぱりおかしいと思うのが通常の考え方じゃないかと思います」
行政法の専門家は国土交通大臣が執行停止を認めれば、約2週間程度で埋め立て承認が復活する見通しを指摘しました。
また執行停止後は最終的な裁決を棚ざらしにしたまま工事が進むおそれがあるとしています。