県内企業の新しい挑戦をお伝えする経済コーナー「Qビズ」です。今回は技術革新で生まれ変わったある沖縄産ワインに注目しました。そこから見えてきたお土産のトレンドとは?
本島北部の名護市にある「ナゴパイナップルパーク」。施設内にパイナップル畑や加工工場を持つテーマパークで、1日1000人以上の観光客が訪れます。観光土産も豊富に揃っていますが、その中でも去年から注目されているのがこちらの「パイナップルワイン」です。
こちらの施設では、名護市のパイナップルを使って新しい特産品をつくろうと1992年に製造を開始。そして、パイナップルワインの誕生25年を記念して去年、ワインの品質を一新しようというプロジェクトが行われました。
プロジェクトの中心となったのは、県外でワインの研究に携わっていた畑さん。
畑工場長「実際お酒作るときって感覚だけではなくて分析したりとか、科学的なアプローチというのが必要になってくるので、少し足りない部分もあったのかな」
「特産品を使ったお土産」という印象が強く、ワインと呼ぶには程遠い印象だったといいます。しかし、パイナップルのワインに可能性を感じた畑さん。そこから理想のワインを追い求める日々が始まりました。
パイナップルワインの製造工程ですが、(1)まずパインを潰してジュースにする。(2)次に一斗缶に詰めて冷凍保管する。そうすることで通年でワインを提供することができます。(3)最終的にはタンクの中で発酵させます。
畑さんが特に苦労したというのが「発酵」の工程。
畑工場長「パイナップルの繊維質が多く含まれている状態。発酵する過程においては繊維というのは沈殿しやすくなっていて、それがワインの香りにも影響してくるので、上手く滞留させてパインのフルーティーな香りを導き出すのは苦労しました」
ナゴパイナップルパークがこれまでの主力商品の改革に取り組んだのは理由があります。
広報・松本さん「お土産品として販売させて頂いていたんですけど、世界の経済だったり情勢によって、観光客が減るときと減らないとき大きく変わってくる」
「本当に美味しいワイン」をつくり、観光客だけでなく、県民や飲食店にも提供する。ナゴパイナップルパークが目指すのは旧来の「土産物店」からの脱却です。
松本さん「これからは沖縄県のホテル、レストラン、町場のバーだったり、そういう所で気軽に飲めるようにセールスしたり、プロモーションをしている最中です」
畑工場長「沖縄のパイナップルのお酒の文化を作っていくことができればいいかな。本来、お酒の文化で言えば、その土地で獲れた農産物を使った物がお酒として楽しまれる流れが自然。そこから生まれたお酒というのは、本当の意味で沖縄県のその土地のお酒のなっていくと思うので、ぜひ住んでいる方にまずは飲んで頂きたい」
まずこちらをご覧ください。観光客の一人あたりの消費額の内訳です。土産・買い物費が前年度に比べて4%も下がっています。観光客の消費額を増やすことも一つの課題ですね。
お土産市場の競争力を高めるためにも、高付加価値の商品開発が求められています。「県産品と使っている」というだけでは手に取ってもらえません。
今の消費者のトレンドは「本物志向」。今回紹介したワインも、アジア最大規模のワイン品評会で銀賞を受賞するなど、評価を得ています。いまやお土産はこれまで以上に重要な位置づけとなっています。