リポートです。パートナーシップ制度の導入やピンクドットおきなわというイベントを開催するなど、LGBTやセクシャルマイノリティに関する取り組みを積極的に進めている那覇市。
その那覇の歓楽街「松山」で、ちょっと珍しいお店を取材しました。
「カンパーイ!」
県内最大の歓楽街、松山。夜な夜な観光客や仕事帰りのサラリーマン、そして客が待つ店へと急ぐ女性たちが通りを行き交います。
そんな松山のど真ん中。バーやスナック、クラブなどが入る雑居ビルの看板に、ひときわ目をひくプレートが。
「Mixバー ちゃんぷる~」
一体どんなお店?? 中に入ってみると・・・
平日にもかかわらず店内は大賑わい!沢山の客でごったがえし、ビールや泡盛が次々に空けられます。
と、ここまではいたって普通の酒場のようですがよく見ると・・・従業員もお客さん達も、ちょっと個性的な人が多いような?
お客さん「ちゃんぷるー最高!オーナーがイケメン!」
狭い店内を動き回り、接客をしたり従業員への指示をだしたりと忙しくするのは・・・
この店のオーナー「紀斗(のりと)」さんです。彼はいわゆる「おなべ」、女性として産まれましたが自分の本来の性は男性だと確信しています。様々な職業を経験したのち、数カ月前にこの店をオープンしました。
紀斗さん「男性が自分の事を女性として見ると気持ち悪いんですよ。自分で自分が(女だという事が)ものすごく気持ち悪いんですよ、何だったら自殺したいって思った時も本当にありましたし」
客層もバラエティに富んでいます。常連の儀間さんは視覚障害者。
儀間さん「(この店は)行きやすい、入りやすい。私はこうやって独りでね。障害者だのに来てる。個性あるけど弱者でもあるから。そういう人たちも入りやすくなるんじゃないかな」
あーやさん「面白いから。楽だし。何言っても「え?」ってならないから」
あゆみさん「色んな人がいて面白いね」
ゴージャスな彼女は高校時代の同級生、あゆみさん。大人になって再会したら性別が逆になっていました
あゆみさん「学生の頃お互い逆転カップルだったよねとか言われてて。性別が逆だったよね」
紀斗さん「(高校の頃は)男性だったから・・・」
レイくん「(紀斗さんの魅力は)皆に平等なところじゃないですかね。分け隔てなく接するところが。本当に昔っから変わらないんですよ、誰とでも友達になるし仲良くなるし」
LGBTや性的マイノリティの人々を支援しようという動きは県内でも広がりつつあります。先月、那覇市で行われた「ピンクドットおきなわ」のイベント。
そこに紀斗さんの姿もありました。
紀斗さん「感激です、興奮しました。理解は広まってきてるなって感じてはいますね」
豊見城からのおなべ2人組「性別の多種多様ってあるじゃないですか。面白いなって。いっぱい繋がり持ちたいなって」
紀斗さんが作ったミックスバー「ちゃんぷるー」。
従業員・蓮(れん)くん「(良いところは)アットホームなところですね。本音で喋れるところ」
色んな人と出会えること、それが一番いいことだなと思います。この店には紀斗さんの様々な思いが詰まっています。
紀斗さん「何で(屋号を)ちゃんぷるーにしたかっていうと性別がちゃんぷるーなんですね。でも性別を超えた対・人として楽しく呑もうやっていうのが自分のなかで気持ちがあって。本音で自分の価値観だったり本音で自分の意見を伝えたらいいんじゃないかなっていう風には思いますね。楽しんだもん勝ちっていうか」
高野さん「カンパーイ!」
この男性は県外から通いつめる常連客。店では客が女装を体験することが出来、それを目当てに来る客も多いといいます。
高野さん「1時間前に那覇に着きました。(女装は)楽しいですね。新しい人生を見つけたみたいな。楽になった気がするんですよね、普段仕事で格好つけてるじゃないですか。それがなくなって素になれるっていうか。楽しんだもん勝ちです」
紀斗さん「自分自身をしっかり持っていれば周りはついて来るし、本当にフォローしてくれるから何も怖がらなくていいと自分からしたら思うんですよ。最初何か問題があっても絶対それは解決することであり未来は絶対明るいから。そう信じてるし自分自身が経験して体験して自分もそうだったし。何もびびらずにリスクを恐れないで自分の言いたいことをハッキリ言っていけたらなって本当に思います」
ミックスバー。強い信念をもったイケメン店長の店には今日も様々な人々が集います。