埋め立てに賛成か、反対か。辺野古の新基地建設をめぐる県民投票の条例案がきのうから本格的な審議に入りました。辺野古NOを掲げる県知事が誕生した直後、各政党はどんな議論を交わしたのでしょうか。
9万3千筆にのぼった、県民投票の実施を求める署名。
謝花副知事「もし翁長知事がこの場にいらっしゃったらこれだけのボリュームを見て本当に喜んでいたと思います」
富川副知事「(辺野古の)埋め立ての賛否についての意思を表明し、その結果を県政に直接反映させたいという多くの県民の思いの表れと考えております」
県は、議会に県民投票条例案を上程し、きのう、実質的な審議が始まりました。困惑を隠さなかったのは、自民党。
自民・照屋守之「具体的にどういう形で解決にいくのか」
安里長従副代表「全国の自治体が等しく候補地となって、安全保障の問題も含めてきちんと議論をして、民主主義として。その結果に従って(海兵隊基地が)必要というのであれば本土に置くと」
照屋守之「県民がそういう意思を示したいという思いと、我々(自民党)が実際に(普天間の)問題解決していくという思いとの、非常にギャップがあってですね。県民投票の結果についてどう責任を取るのか…」
消極的な姿勢の背景には、県知事選挙での敗北があります。辺野古の争点化を避ける戦術で県知事選に敗れた自民党。
花城大輔県議(自民)「今まで選挙の結果が民意ですよと言っていたものが、県民投票の結果でまた新たに民意が出されましたよということも、この条例をやる(制定する)ことで加わると思うんですよ。ただワンイシュー(論点=辺野古埋め立て)にこだわっている部分、そこに強く傾倒してるんじゃないかと私は危惧するところなんです」
元山仁士郎「シンプルなかたちで沖縄県民にそれを問うことができるわけですからより議論が深まっていくと思いますし、より明確な意思が反映されると思います」
自民党は、辺野古に論点を絞って再び民意を問う県民投票に危機感すら感じています。一方…
金城勉代表「多くの政策を問う選挙ではなくワンイシューでやりたいと。しっかり受け止めました」
県知事選挙では自民党とともに臨んだ公明党。辺野古を押し進める政府と共同歩調をとることには、支持母体の創価学会の一部が反発し、分裂していました。今回の県民投票については、一定の理解を示しています。
金城勉代表 「もしも政府が方針を転換して普天間は返還、辺野古は「なし」となるならば これに越したことはない」
元山仁士郎代表「この県民投票を踏まえてまた頑張っていただいたら、(国の姿勢が)変わることも本当にあると思いますし、是非とも頑張っていただきたい、諦めずに一緒に頑張っていただきたいと思います」
ここから久田記者とお伝えします。話を聞いていると、各政党の本音が見えてきますね。
久田「注目は自民党の対応なんですが、単純に賛否を聞けば、反対が7割から8割に上るだろう、と警戒する議員もいました。選挙では拮抗しても、直球で民意を聞けばそうなるということです。 ポイントは、ワンイシュー、辺野古の埋め立てに賛成か反対かだけを問うということです。21年前、「海上ヘリポート」建設をめぐって行われた名護市民投票では、環境対策や経済効果という条件付きの賛成・反対も含め、4つも回答に選択肢がありました。しかし今回の県民投票の案にはそういう側面はない、正面しかないんですね」
自民党が警戒するのはどうしてでしょうか。
久田「辺野古「NO」の民意が出る可能性は極めて高いなかで、”ワンイシュー”ですから、争点を避けることができません。「辺野古を進めるべき理由」をしっかり説明して県民を納得させる必要に迫られますし、それでも反対の民意が出れば、辺野古を進める姿勢を問う声はますます強まると思うんですね」
一方の公明党はどうでしょうか。
久田「県知事選では自民党と連携しましたが、本来、普天間基地の県外・国外移設を掲げる県本部方針との矛盾に不満が広がり支持層のおよそ3割が玉城デニーさんに投票し、県本部は苦しい立場に置かれました。ただ県民投票については県本部の金城代表は、「署名の重みを尊重」し、県民投票実施には賛成するとしています」
県民投票条例は可決されれば半年以内に投票、となります。以上、久田記者とお伝えしました。