貧困、児童労働、教師の能力不足…。途上国が抱える教育問題と向き合った県内の先生たちに密着しました。
日本の本州とほぼ同じ面積に、およそ50の民族、650万人が共存する「ラオス」。JICAのプロジェクトで途上国の現状を学ぼうと派遣されたのは県内の先生5人です。
浦添高校・上運天亜希子先生「自分が話すことが机上の空論みたいな、生の声を子どもたちに届けられてないことが、去年1年間苦しかった」
古蔵小・金城千秋先生「外で見てきたこと、感じてきたこと、体験したことを生の声で子どもたちに伝えられる立場になれたらいいなと思って参加を希望しました」
この日は首都・ビエンチャンから北西に700キロ、中国との国境にほど近い「アカ族」の村を訪れ、地元の驚くべき風習を聞かされます。
ガイド「この村では、妊婦が一人で山に籠って出産します。また、災いを招くとして、双子が生まれた場合は殺すという風習がありました。今では政府から禁止され、養子にだすなどしています」
また、村の小学校も尋ねました。
識名小・本村良太先生「意外と(学習用品が)そろってるなと。絵がカラフルで物欲は満たされてないかもしれないけど、心が豊かなのかって」
金城先生「みんなで声をだして発音してるとことや休み時間になったらこんな生き生きしてるのを見て、学ぶことが楽しいんだなと嬉しくなりました」
しかし、都市と地方の教育格差は深刻です。
本村先生「困ってることってなんですか?」
ラオスの小学校の教員「少数民族の村は、言語が違うので、言葉の面でとても苦労しています」
多民族国家のラオスでは、多用な言語があるため、子どもたちが授業についていけないという課題や家の労働力となる子どもは学校に通えないという問題も生じています。
そんななか、ラオスの教育者の質を向上させようと、沖縄の先生が今、活動しています。
この日、先生たちはおよそ2年間、ラオスで学習指導の改善などに取り組む沖縄の先生と再会。これまでの苦労話しも聞かせてもらいました。
仲井真中・糸数樹奈先生「一緒に授業をする時、課題を感じました。だから課題を感じるということは、押しつけになってるのか。私はいいと思ってるけど、果たしてラオスの先生たちにとっていいと思ってるんだろうかとのをすごく悩みました。ラオスに来て一喜一憂しながら試行錯誤の日々です」
ラオスのカウンターパートナー・オンシー先生「糸数先生から、授業の技術が学べています。様々な教材を使った、生徒を中心の指導が学べて非常に勉強になっています」
先生たちのどこか自信に満ちた表情に出会えました。
上運天先生「いい意味で余計迷って、もっともっとやっていったり見ていったりしないといけないことがあるなって課題が更に積み重なってきました。いい意味でまたレベルアップしていきたいと思っています」
金城先生「自分で行動を起こして、もっともっといろんな経験をしていくことで、また今回の経験のように自信をつけて子どもたちにいい教育ができるようにがんばれるかなと思って。やっぱり参加して良かったなと思いました」
教師たちは、今回の研修で学んだラオスの文化などを授業で紹介して、生徒たちの国際理解につなげていきたいということです。
また、ラオスで働く県出身の教師とのつながりを継続して保ち、今後、インターネット電話サービスなどを使って、沖縄とラオスの子ども達の交流を行っていきたいということです。