翁長雄志知事の死去に伴う県知事選挙が告示され、無所属新人4人が立候補の届け出を行いました。
立候補したのは無所属・新人の佐喜眞淳さん、同じく無所属・新人の玉城デニーさん、無所属・新人の渡口初美さん、無所属・新人の兼島俊さんの4人です。
今回の選挙は、国政与党の支援を受ける前の宜野湾市長の佐喜眞淳さんと、前衆議院議員の玉城デニーさんの事実上の一騎打ちとなっています。
佐喜眞さんは那覇市内で出陣式を行い、推薦する自民、公明、維新の会の支持者が集まりました。佐喜眞淳候補は「普天間の返還が実現できなかった。じくじたる思いもある。私は絶対あきらめない。普天間飛行場の返還、キャンプキンザーの返還、那覇軍港の返還、すべてできるのは私しかいない」と話していました。
佐喜眞さんは普天間基地の返還を訴えたものの、辺野古移設の是非について触れることはありませんでした。この後、佐喜眞さんは県内各地で遊説し、有権者に支持を訴えました。
玉城さんは、母親のふるさと伊江島で当選祈願をした後、第一声をあげました。玉城デニー候補は「国頼みではない、ウチナーンチュが誇りある豊かさを築き、イデオロギーよりアイデンティティーを大事にしようという翁長知事の遺志を受け継ぎ、辺野古に新しい基地は造らせない、その意思を明確にして、選挙戦を堂々と戦っていこう。沖縄の現状と未来は、すべての国の人々が理解するところから始まれば、米軍基地の問題は必ず解決できると私は強く信じています」と話しました。
玉城さんは翁長知事の遺志を継ぎ、辺野古新基地反対を訴えるとともに、沖縄の将来を見据えた政策を進めたいと強調しました。玉城さんはこの後、辺野古ゲート前を訪れ、座り込みを行う人々から歓迎を受けていました。
このほか、渡口さんはすべての県民に消費税を30%課税するかわりに、県民1人あたり月額30万円を支給する経済政策を訴えています。
兼島さんは「若者が政治に興味を持ってもらい、声をあげやすい仕組みをつくることが大事」だと訴えています。
50代男性は「みんなが納得できるかたちで基地問題を早く解決してほしい」と話し、40代女性は「辺野古のことに関して誠実に向き合っているかどうかとか、正直に答えているかどうかとかそういうのを大切に見ています」と話していました。20代男性は「経済かな、観光業がすごい、大型クルーズ船も入って、そこを自分は見ています」と話していました。
知事選は今月30日に投開票されます。
ここからは選挙担当の金城記者に聞きます。知事選、いよいよ告示されました。佐喜眞さんと玉城さんの事実上の一騎打ち。両候補の第一声をどう見られましたか?
金城記者「佐喜眞さんは政権与党の推薦を受けているだけに、国との太いパイプを強調して、普天間基地の返還や那覇軍港移設問題などの解決は、私にしか出来ないと強調しました。その一方で、県政の最大の課題である辺野古問題には触れず、2月の名護市長選同様の選挙スタイルを鮮明にしました」
玉城さんは伊江島での第一声でした。これは珍しい形になりました。
金城記者「伊江島を選んだのは母親が生まれた島だということなんですが、その伊江島は何といってもアメリカ軍に土地を取られ、土地闘争、島ぐるみ闘争が最初に起きた島でもあります。翁長知事が辺野古の埋め立て撤回を指示して亡くなった。玉城さんは、その翁長知事の遺志を継いでいく決意を、沖縄の歴史を象徴する伊江島で示したかったということです」
国政の争いの構図が知事選に持ち込まれたような感じもありますが。
金城記者「佐喜眞さんは政権与党の推薦を受けています。すでに自民、公明、維新などの国会議員が大勢入っています。一方、玉城さんは政党の推薦を受けず、翁長知事が残した『オール沖縄』を構築しました」
金城記者「この選挙、佐喜眞さんは『県民の暮らし最優先宣言』、玉城さんは『誇りある豊かな沖縄新時代沖縄』を掲げています。17日間の論戦の中で、それぞれの候補者が自らの政策を、115万有権者にどう訴えていくのかが注目されます」
歴史的な選挙戦となりそうですね。新しい知事は今月30日に誕生します。