県内企業の新しい取り組みをお伝えする「Qビズ」です。今回私が訪れたのはカフェなんですが、ただのカフェではなく、まさに新しいビジネスが生まれる、カフェにお伺いしました。
沖縄市の商店街の中にある、おしゃれな建物こちらは2年前にオープンした「スタートアップカフェ・コザ」。最近はカフェで仕事をする人も多いですが、この空間の熱気は、普通のカフェとはちょっと違います…。
カフェ利用者「バーチャルリアリティ(VR)と教育を一緒に合わせて何かできないかと相談しながらやらせてもらっています。新しいことするんだったら、ここでやるのが沖縄では1番いい選択」
このように「スタートアップカフェ」とは新しいビジネスを始める人たちのために、起業の準備や相談ができる空間のこと。「いつか起業したい」「具体的なアイデアがある」そして「起業家たちと交流したい」といった人たちが集っていて、昨年は年間2万人以上の来客を記録しました。
スタートアップカフェ・中村まこと代表「沖縄は実は起業率は日本一なんですけど、廃業率も高い。廃業率を下げることによって沖縄を活性化させていきたい」
こちらのカフェ、実は起業相談だけではなく、3Dプリンターやレーザーカッターなど、最先端のデジタル機器も配備。試作品の製作などもサポートします。
カフェの向いにあるこちらの事務所「Link and Visible」。代表の豊里さんは元々中国の物流会社に勤めていましたが、起業を決心し、日本へ帰国。そこでスタートアップカフェコザを知りました。
豊里健一郎さん「会社の設立の仕方とか、場所とか長い間(日本を)離れていたのでわからないことだらけでした。困っていることがあった時に(スタートアップカフェが)地域の情報を持っているので、紹介してもらえたというのがとても大きいです」
行政書士や金融機関を紹介してもらうなどのサポートを受け、去年、ついに会社を設立。現在は旅行者と観光地を結ぶマッチングサービスや農業分野で用いるICTの開発などを手掛け、今年中には中国に子会社も設立するということです。
豊里さん「この商店街からアジア、世界に飛び出していきたいなと思っています」
こうした「スタートアップカフェ」。今、全国に広がっているんですが、実はこちらの「コザ」をモデルケースにしようと、全国から視察に来る関係者が多いのです。なぜ、コザのスタートアップカフェが注目されているのでしょうか。
スタートアップカフェ・中村代表「スタートアップ(起業)がうまくいく理由はやはりダイバーシティ、多様性を認めることが非常に大事。その中で沖縄市は14万人の市民の中で、42か国の人間が住んでいて、受容性の高さというのが(コザの)魅力だと思っている。世界の最新のカルチャーである『スタートアップ』をこの街には受け入れる能力があるんじゃないか。沖縄ってものすごいポテンシャルを持っているんですけど、県民の方自体がそのポテンシャルが当たり前なので気付きづらい。それを外から来た我々が『沖縄って日本の経済を支えるかもしれないよ』ってことを呼び掛けていきたい」
「スタートアップカフェ・コザ」が2016年に誕生したことにより、豊里さんのように商店街にオフィスを設立したり、飲食店が増えたりと地元の景気にも良い影響を与えているようです。
胡屋地区商店街の営業店舗数は2015年に632店舗から2017年には699店舗に増加したということです。
そしてVTRでもご紹介しましたが沖縄は開業率は7%で、全国1位(2015年度)。スタートアップしやすい土壌があります。今回、中村さんに「沖縄のスタートアップが成功している理由」をお聞きしたところ、
(1)地理的優位性日本で一番アジアに近く、巨大なマーケットを狙えるLCCの直行便が就航し、短時間で行けるのが魅力的
(2)世界各地にネットワークがある。中村さんによると、ベンチャーは世界に進出しないと成長できないと言います。沖縄は多くの移民を送り出し、世界には県系人のネットワークが広がっているその点がほかの地域よりも優位性があるといいます
(3)そして最後が沖縄が「潜在市場」であること。今、アメリカなどの先進国や東京などの都市部では新しいビジネスが生まれにくくなっているといいます。そのため、スタートアップのトレンドはアジアやアフリカといった新興国や沖縄のような地方からローカルベンチャーが生まれていると言います
こうした点から、東京といった大都市よりも沖縄に魅力を感じて拠点を築いたそうです。今やフェイスブックやグーグルといったスタートアップ企業が世界経済をけん引しています。ここ沖縄からそうしたメガベンチャーが誕生することに期待したいですね。