「ヘアドネーション」をご存知でしょうか。小児ガンや先天性の疾患などで髪の毛(頭髪)を失ってしまった子どもに医療用のかつらを提供する行為のことで、この取り組みは全世界で行われています。そのヘアドネーションに密着しました。
それは誰かの宝物になるかもしれません。
今川祥子さん「切った髪の毛ってどうしてもそのままゴミになってしまうから、それが何かの役に立てばそんな素晴らしいことは(ない)」
キーワードは「善の連携」。私たちの伸びた髪は、切ればただのゴミですが、ある程度の長さと専門的な処置によって、人毛ウィッグとして活用することができます。
集められた髪が提供されるのは、病気などで髪を失ってしまい、ウィッグを必要としている子どもたち。18歳未満の子どもが申請することで、無償で贈られます。これがヘアドネーションです。
ヘアドネーションで最も大切なのは髪を提供してくれるドナー。今回ヘアドネーションに挑戦するドナーは今川祥子(さん。
今川さんはダイビングのインストラクターをしていましたが、結婚・出産し、子育てに追われる日々で、気が付いたら腰まで髪が伸びていたといいます。
今川さん「お友達にヘアドネーションをした事があるって人がいて、髪は寄付できるって話を聞いてたのはあるんですけども。寄付した髪がどうなるかっていうのを見たら、子ども用ウィッグって聞いて。ちょうど私も小さい子どもがいるから余計に思うのかもしれないんですけど、すごい、いいかもと思って」
ウィッグを作るためには31cm以上の長さが必要です。目安としては背中の半分位まで。このロングヘアなら条件を充分に満たしています。
まず、長い髪を分けて束ね、整えてゆきます。その上で長さを測り、どのくらい寄付するかを決めるのです。今回、今川さんは35cmほどを提供することになりました。
寄付するための髪を切っていきます。
このようなヘアドネーションの取り組みは全世界で行われていて、日本では大阪にあるNPO「ジャパンヘアドネーション&チャリティー」、通称ジャーダックが代表的な団体です。
1人分のウィッグを作るのに必要とされるのはおよそ30人分!ジャーダックではこれまで270人の子ども達にウィッグを提供してきましたが、順番を待っている子どもも200人以上いて、その供給は間に合っていません。
今川さん「あ、思ったより…。もっと少ないかと思ってたけど」
ホームページやイベントを通じて髪の提供者であるドナー、ヘアドネーションに賛同し協力するヘアサロンを随時募集しています。
その「賛同サロン」、沖縄には現在30件ほどあってドナーから提供された髪をジャーダックに送るなどの協力を行っています。
美容師さん「ここ数年すごい多いよね、すごい多くなりました。探したんです。ここがいいんじゃないかって。日本で唯一、最初のNPOだって事と数も沢山やってらっしゃるし。夏休みとか春休み明けの時に小学生とかが多いです。最近の春休みにも小学生がいっぱい来てくれて。毎日1人とか」
寄付用の髪を取ったあとは通常通り、ヘアカットを施して終了になります。
今川さん「軽くなりました。これで私も気持ちも軽くなるし、楽だし。切ったのも無駄にならずと思ったら嬉しさが2倍3倍。ありがとうございました」
切った髪はサロンが責任をもってジャーダックに郵送します。この一連の行為は全てボランティアで行われるもので、ドナーも基本のカット料金などは負担します。
初めてみるショートヘアに娘がどんな反応を示すのか不安でしたが…
美容師さん「クセがある髪でも大丈夫ですし、染めた経験があってもパーマをかけた経験があっても大丈夫。ご来店される時になるべく髪が乾いた状態で来てくれると、そのまますぐドネーションのカットに入れるので。髪を大事にして貰って、綺麗な髪を伸ばして提供できるように、と思ったら切った本人も嬉しいし、寄付された方もね嬉しいと思う。髪を大事にして下さい」
皆が嬉しい、笑顔になれる。それがヘアドネーションの繋がりなのかもしれません。