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那覇市を通る国道で、ある社会実験が行われています。どのような社会実験なのか、そしてどのような目的があるのか取材しました。

那覇市の中心地からおよそ5キロ。仲井真交差点の近くで、ある社会実験が行われています。

岸本記者「仲井真交差点から100メートルほど西に来たこちらの分離帯の開口部では、車止めが設置され、車の通行ができないようになっています」

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中央分離帯の開口部を閉じて、車の通行を止める県内でも珍しい社会実験。その目的は。

南部国道事務所 山城修副所長「実際こちら事故が多発している地点でして県内でも有数の事故多発地点ということで認識されておりまして」

ここでは、統計がとられている2011年からの4年間で、出会い頭の事故が13件発生しているのです。

さらに問題はここだけではありません。開口部を抜けた先では、道路を歩いている子どもたちのそばを車がひっきりなしに通っていきます。
  
岸本記者「国道からの抜け道となっているこちらの道路は、道幅が狭い中を車が通行しています。いつ、事故が起きてもおかしくありません」

南部国道事務所山城修副所長「朝の通学時間帯ですね。子どもたちの通学時と重なりですね、その時に交通安全上、子供たちの安全が、心配されるというふうに認識している」

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こちらの映像は社会実験前に撮影されたものです。

一歩間違えれば大きな事故につながることを物語る映像でした。ここでは6年前から6件の交通事故が発生しています。このうち2件は車と歩行者の接触事故でした。

午前7時から午前10時にかけての通勤・通学のピーク時。実験の結果、交通量は439台から143台とおよそ70パーセントも減少しました。

賛成派男性「やっぱりあっち通り抜けできなくなったのは、生活するうえでは不便になっているんですよ。でも子どもたちのことを考えたら続けたほうがいいと思うし」

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子連れのお母さん「車が多いと子どもの車渡るところ、特に危ないなと思っていたんですけど、最近は変わってますよね。それで今がいいなって思います」

南側のお姉さん「不便ではありますけど事故のためなら、大丈夫かなと感じます」

バイクのお父さん「減っていると思います。朝は特に」

一方でこんな意見も。

反対派中年男性「ちょっと不便だなっては思ってますね。右側に出るときに出にくいので、回って出ないといけないということで」

中立派高齢男性「実際それ(抜け道)をやらないと確実に迂回しないといけないって方がいらっしゃるわけですよね。その方たちがどう思っているのかなって。その辺が気がかりではあった」

これまで開口部を通って右折できていたものが、大きく迂回することを余儀なくされたことで住民は、時間にしておよそ5分から10分の道のりを遠回りしなくてはなりません。

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ワークショップで意見を出す男性「子どもがここ通って仲井真小学校に通うんですけど、ここ閉めたことによって交通量が少し減ったような気がするんですよ。でも車両が少なくなった分、スピード出す車が増えたような気がして、余計危なくなったような気がしてですね」

どうしたら利便性を確保しつつ子どもたちの安全を守れるか。社会実験の結果を受けて、大人たちは議論を始めました。

那覇市国場児童館山﨑新館長「子どもが安全を自分で守らなければならないのはもちろん大事なんですけど、子どもの責任ではなくて、大人として子どもの安心安全の責任を持った街づくりが必要なのかなって僕は感じています」

社会実験は今月29日まで。住民たちの模索も続いています。

国道を管理する南部国道事務所では地域の意見を参考に8月中に中央分離帯の開口部の閉鎖を行うかどうか決めるということです。