1979年から7年間、上演され続けた舞台「島口説」。去年、腎細胞がんで亡くなった北島角子さんが一人芝居で演じてきました。北島さんの代表作となった「島口説」が泉&やよいさんに受け継がれます。
今月末に控える舞台の稽古に熱が入るのは漫才コンビの泉&やよいの2人。2人が挑む舞台、それは…。
1979年から7年間演じられた「島口説」。去年亡くなった女優・北島角子さんの代名詞となったお芝居です。島口説は、強くたくましい酒場の女主人が実は沖縄戦で夫と子ども失った悲しい記憶を背負っていて、女主人が語る戦争の記憶が多くの人々の心を動かしました。
島口説を書いたのは、脚本家の謝名元慶福さんです。
謝名元慶福さん「(北島さんは)優しくて強い方でした。(島口説は)北島さんにあてて書いた芝居です」
時折、ユーモアをまじえて、観客の笑いを誘った北島角子さんの島口説。
謝名元さんは、北島さんが亡くなって1年になることし、再び追悼の意味も込めて「島口説」を上演しようと考えました。その白羽の矢がたったのが泉&やよいの2人だったのです。
QABの朝の顔としても活躍するお2人。喜怒哀楽、織り交ぜるウチーナー口芝居の島口説にはぴったりの2人でした。
謝名元さん「お2人が、本当にそれぞれの個性を持ってて、ある面では北島さんが持ってた世界とつながっている笑いの世界を持ちながら、きちっと沖縄の人々の心や歴史を伝えようという姿勢がある」
戦後生まれの2人。大女優・北島角子の名を継ぐ島口説の舞台を演じるにあたって、2人のある思いがありました。
やよいさん「私たち、確かに戦後生まれで戦争のことは一切わからない、沖縄戦のことはわからないんですけど。私たちがちっちゃいころ、まだ戦争経験者がお元気で、あのころに聞いた話を感じて、いつも私は沖縄のどこを歩いてても、沖縄戦で犠牲になった方々の骨がどこにでもあって、その上を私たち歩かせてもらっている、その上で私たち生活させていただいているという意識が、私はいつもある」
泉さん「この島口説で、未来、沖縄を作っていく子どもたちに、大人も若い人たちにも、恐れ多いんですけど、私たちの舞台で島口説で(戦争の悲惨さを)伝えられたらと思って」
北島角子さん(2009年)「子どもたちに自分たちが生きてきたことを話してやるのは大切だと思う」
北島さんの思いは受け継がれています。
やよいさん「上から頂いたものを下のものに伝えていく、是非させていただきたい(と思いました)」
泉さん「角子さんの島口説、今回私たち2人が舞台でやることになりました。まだまだ本当に未熟なんですけれども」
やよいさん「北島先生がいらっしゃるところから、どうか見守ってください。お願いばっかりでごめんなさいと思いながら、ぜひ力貸してくださいっていうことをお願いしました」
謝名元さん「沖縄の戦後とはこういうことだったんだんだな。そして、あのときと今はどう変わったんだろうか、本当に変わってないね、という風なことが自然とわかってもらえるんじゃないかと。それを二人を通して感じてもらえる、と(思っている)」
北島さんから次の世代へ。沖縄戦の悲劇を心に刻むメッセージがそこにあります。
やよいさん「ウチナーの先人のみなさんから平和を伝えていただいたその平和を次の世代へ、そしてまた次の世代へ、この島口説という台本を通して、お芝居を通して伝えられる」
泉さん「泉&やよいの島口説で、平和を子どもたちに舞台で伝えられたらなと思っています。継承っていう恐れ多いんですけど、また世代につなげられたらなと思っています」
舞台「島口説」は6月29日から3日間に渡り、公演されます。