戦後史と会社史を重ね合わせたユニークな社員研修が行われました。企画したのは戦後生まれの若者たちでした。
今月28日戦後の沖縄の歩みを知り、郷土愛や社会を作る一員としての意識を育てようと、大同火災海上保険では新入社員を対象に研修会が行われました。
がちゆん・国仲さん「戦後史とか基本ほっといても誰も学ばないと思っているので、どうやったら学んでもらえるかなーっていうことをいつも考えながらやっています」
研修を担当したのは、修学旅行生向けに平和学習のプロジェクトを提供している会社「がちゆん」です。「がちゆん」は国仲さんが琉球大学の学生のころに立ち上げた会社で創立5年目。10代や20代の学生や社会人を対象に、若者の視点で平和や基地問題を考える学習会を展開しています。
今回手掛けたのは、大同火災の社史を戦後史と重ね合わせるというもの。彼らは、沖縄の戦後史に欠かせない出来事と大同火災がどうかかわっていったのかを考えるオリジナルの教材を1カ月かけて作り上げました。
国仲さん「リアルさというのを追求したくて。会社史と戦後起きたキャラウェイ旋風がつながっているとか、730がつながっているとか。実際こんなにつながっているんだってこっちもびっくりだったし」
教材は、アメリカ軍の抑圧に直接抵抗した1970年のコザ騒動や、1978年7月30日に右側通行から左側通行に交通ルールが変わった「730」など、沖縄の戦後史をキーワードに掘り下げていきます。
戦後うまれのがちゆんメンバー、教材づくりを通して、彼らもまた知らなかった戦後と向き合っていました。
『沖縄は、この後もアメリカの統治下になっているんですけど、だから沖縄からすると屈辱の日という風に呼ばれていました』
『この方が仲吉良光さんていう方で、復帰男っていうあだながついていました』
国仲さん「そして6つの出来事と直結している出来事が、皆さんの会社の身に降りかかっています」
研修で学んでいく沖縄の戦後史。
がちゆん・平仲さん「サンフランシスコ講和条約によって沖縄とか小笠原とかは切り離されて、そのまま米軍統治下が続きます。日本本土にあった軍施設が沖縄に移設されていったりとか、沖縄でもさらに増えていきます。第二次軍工事ブームになっています。軍関連工事が増えて、琉球火災(現・大同火災)はこの時好景気になります」
米軍資本でスタートした保険会社の歴史は、やがて、アメリカ軍の事件事故とも遭遇していきます。
平仲さん「軍の施設とか基地とかどんどん増えていくと何が起こるか。訓練たくさんするじゃないですか?なのでその訓練の中で起こってしまったのが、宮森小学校の米軍機墜落事故になっています」
他にもリアルに戦後史と社史を感じてほしいと、交通ルール変更の730の出来事を演劇で再現していました。
大同火災では、730で事故の増加を心配した多くの県民が保険に加入して業績を伸ばしていったというエピソードも紹介されました。
人事担当者・根本さん「私たちの会社のターニングポイントみたいなところに、事件だったり基地の軍工事がからんでいるとか。ターニングポイントと沖縄の戦後史がリンクしているっていうのを感じることができる研修だったと思います」
新入社員「歴史が深い会社だと思いましたし、歴史作っていくのは私たちなので、一生懸命沖縄のことも考えがながら、仕事も頑張っていきたいなって思いました」「新入社員っていう形で学習しているんですけど、自分たちの同じ年代の人たちが普通に講師として仕事もしているっていうのは、刺激になりました」
国仲さん「会社の歴史とつなげて学べるということは、沖縄戦後史、自分に関係ないと思うような話題が、すごく近いものなんだと感じるきっかけになると思うので、会社の社員研修でやってくださることはすごいうれしいことだし、続けていければいいなと思います」
当時の経営者が時代の流れを読みながら決断していった様がリアルに感じ取れましたね。研修会では、未来年表を出して時代を予測しながら自動運転になったら保険がいらなくなるのでは?、那覇空港の第二滑走路が完成すればレンタカー利用者が増え収益があがるのではなど、これから刻まれる戦後史に新入生たちも真剣に向き合っていました。