平安座島で、旧暦3月3日から3日間かけて行われる伝統行事があります。サングヮチャーと呼ばれるお祭りは、島の最大行事でもありますが、今、子どもの減少という大きな問題が祭りの存続も脅かしています。そんな中、次の世代へ祭りを繋ぎたいと願う人たちがいました。
サングヮチャーは「3月遊び」とも言われ、旧暦3月3日から3日間かけて行われます。浜下りに加えて、豊漁と漁の安全を祈願する祭祀が合わさった、海人の島ならではの伝統行事です。
行事の2日目は高級魚であるタマンとマクブをノロと呼ばれる神女に奉納し、ノロは銛に突き刺した魚を担いで踊る、トゥダヌイユーという神事が行われます。
その後、地元の中学生たちがタマンを模した神輿を担ぎ、島を練り歩いて浜に移動。500m沖にあるナンザ岩に渡って東の海に捧げる祈り。
このナンザ拝みに向かうパレードは仮装行列!なぜ仮装するのか?には諸説ありますが、昔から島の人々は仮装を楽しんでいたとの事。
与那城漁協・吉村文男さん「昔は沢山の仮装、自由に仮装していく。どんな形でもいいから仮装していくっていう。高校生は女装をして参加したりして。仮面をかぶってね、誰が誰やらわからない。この世にいる魔物みたいなのが全部集まったみたいな形で行列。皆から平安座のサングヮチャーは面白いね、すごいね楽しいねっていう(笑)」
地元、与那城漁協の吉村文男さんは生まれも育ちもこの平安座島。祭りは昔、もっと賑やかだったといいます。
吉村さん「あの頃は6000人とか。クラスが3クラスとか4クラス、団塊の世代の人たちっていうのは。子どもたちが多いし、子どもたちが参加するし。参加することによって継承されていくっていう。今、人口が少なくなってきて、文化継承が非常に危ぶまれてるっていう。ただ救えるのは学校側が協力して、子どもたちも一緒にトゥダヌイユとか浜下りをやってる」
中学生「楽しいです!波に流されて、風が気持ちよくて」
吉村さんの願いは昔のように、島の人が何千人も集まるサングヮチャーです。
祭祀を行う人々のなかに漁業組合の男性が。玉栄将幸さん。海人をしながらダイビングショップを経営しています。玉栄さんもまた、サングヮチャーの賑わいを取り戻したいと願う一人です。
玉栄さん「元々海人がやってた行事ですから、それを若い人たちに継承する意味でね、ちゃんと体験させないといけませんから。時代の流れですかね、よくわからないですけど、もう海人って魅力ないのかなって。ちょっと悲しい話ではあるけど。毎年々年齢層が上がってるっていうか、もうそろそろ引退だなって人たちも毎年でてきてはいるんで、やめていく人がいる分、入ってこないと組合としては存続が危ぶまれますんで。
玉栄さんは今年63歳。一昨年、病気のため半年間の休養を余儀なくされました。
玉栄さん「健康には気を使ってるつもりなんだけど、何の引っかかりもなく安心しているところにバタッと倒れたから。そういう意味でも自分の健康なうちに若い人を育てようっていうことで」
中学生「大人になっても来たいです」
平安座島の人々に息づくサングヮチャーを楽しむ心。伝統の祭りがこれからも続くようにという思いが、様々な願いとともに海に届けられます。