県内のあるベンチャー企業が、水のインフラを大きく変える革命的ともいえる商品開発に取り組んでいます。
その技術力は世界一ともいわれているそうですが、一体どのような商品なのでしょうか。取材しました。今月9日。糸満漁港の漁船の乗り場。船にキャリーバックが積まれようとしています一体何に使うのでしょうか。
実はこのキャリーバック時に漁師の命をも守る、大切な機械なのです。船に揺られることおよそ15分。糸満漁港からおよそ2㎞の沖合。先ほどのキャリーバックが開けられます。
ホースの一方は、海水へ。そしてもう一方は容器へと向けられます。
大嶺会長「(Qこの装置はどういう装置なんですか?)海水をくみ上げて、この高圧ポンプで逆浸透膜を使って塩分を除去する装置です」
岸本記者「ここからくみ上げられた海水が、こちらのホースを通って、この装置を通ってろ過されたのち、淡水となって出てきています。」
実はこのキャリーバッグ、世界最小クラスの「淡水化装置」なのです。
岸本記者「では実際に飲んでみたいと思います。塩辛さも臭みもなくて、とってもおいしいです」
大嶺会長「除去率は99.4%ですからほとんど塩分がなくなります」
この漁船にはさきほどの装置よりも少し大きい淡水化装置が常時備え付けられています。
金城満三船長「出航の時に積む真水だけでは贅沢に使えない、これだったら毎日作ってから贅沢に使えるからそこがありがたいと思って」
十分な水がいつでも確保できるので、緊急時の備えとしても注目されています。この装置が作られているうるま市の工場に行ってみました。
2012年から淡水化装置を専門で作っている企業です。その技術の中心となるのは特殊なろ過フィルターを収納するこちらの装置。ここで開発された装置は、世界的に見ても小型化されたものなのです。
フィルターには1mmの100万分の1というとても小さな穴が空いていて、水と不純物とを分離します。その工程では非常に強い圧力をかけるため、容器には高い強度が求められています。
大嶺会長「これを入れて圧力をかけて、耐えられるような構造だから重くて大きい。とても持ち運びができない。でもこれじゃあできないので、ここまで小型化しました。」
いま実用化している容器の重さは8キロ。さらなる小型化、軽量化に向けて開発は続けられています。この会社では小型化することで、新たな淡水化装置のマーケットが広がると考えています。
柳瀬社長「漁船だけではなくてクルーザーですとかヨットですとかプレジャーボートと呼ばれるような分野のほうにもお客さんが増えてきている」
高い技術力で開発された小型の海水淡水化装置は、海外でも高い評価を受けています。柳瀬さんは海水淡水化装置を使って途上国での水のインフラ環境を変えようとしています。
柳瀬社長「パプアニューギニアは非常に島も多いですし、真水が取れるところが少なくて雨水に頼っていたりですとか、小さな島の方は大きな島までボートで水を買いに行くっていうようなケースが多い」
パプアニューギニア政府からはすでに100台近くの受注を受けていると言います。柳瀬さんは海水淡水化装置を使って途上国での水のインフラ環境を変えようしています。
柳瀬社長「水の小さなインフラを世界中に提供していく。それで世界を変えていきたいなと思っています。」
県内の小さなベンチャー企業が、世界的な活動を行っています。その活動は将来的に、世界の水環境を大きく変えるかもしれません。これからの展開に目が離せません。