つづいてはQプラスリポートです。カツオの島、伊良部島で長く島民に親しまれてきた食材があります。カツオ節ならぬ「なまり節」その伝統の味を受け継ぐ男性の姿を追いました。
地元の仲買人「これです。カツオ、今日あがったやつ」
宮古島の北西に位置する伊良部島。(地図左下にいれる?)佐良浜地域は、100年以上続くカツオ一本釣り漁で栄えた漁師町で、カツオは身近な存在です。
地元の人「(食べる)うまい。味が濃いよ、今日の水揚げだから身もしまっているし」
テーブルに並ぶカツオの刺身や塩辛。実はこんな定番の他にも、地元で長く愛されてきた食材があるんです。それが・・・
伊良部島で味の決め手として使われる「なまり節」
友利カツオ加工場友利真海さん「燻製シーチキンみたいな。香りのついたシーチキン。そういうイメージ。はい、完成でーす」
友利さんは地元で30年続くカツオ加工場の2代目。25歳で工場を継ぎました。
友利さん「工場がだんだん少なくなっていくなかで。24、5歳がこの工場を継ぐんだみたいなちょっと物珍しいところもあったんじゃないですかね。みなさんかわいがってくれて」
工場員は友利さん、ひとりだけ。
友利さん「コンパクトに一人でできるように作られているんです」
友利さん「まずしっぽ切って頭を切って内蔵をとる。ここで1時間から1時間半ぐらいかな。95度から98度くらいの温度でゆでてあげると中まで火が通って骨抜きするときにとりやすくなる。外側のうろこをとって背びれをとってそれから身をしっかりゆであがっているところをパカってわれるんですよ。こういう風に割れるので中骨を取って。本当に地味な単純作業なんですけど。こういうのを毎日おっさんが一人でやってるだけ」
骨抜きが終わったものは翌朝まで寝かし、火力が強く香りもいいモクマオウの薪でじっくり焙乾していきます。
1時間半ほどたてば、香ばしいきつね色に。カツオのうま味がしみ込んだなまり節の完成です。ひとりで作る量は1日80匹ほどがやっとです。
友利さん「じいちゃんの遺言も、工場の戸は閉めるなっていう、あはは、重い一言があったのでできる限りはやろうかなと思って続けています」
しかし最近はカツオ漁に出る船も少なくなり、水揚げ量にも陰りが。どうにかして島の力になりたい、そう思った友利さんが始めたのは・・・?
友利さん「平行にするんじゃなくてちょっとおしりを持ち上げて」
なまり節食堂。たくさんの人にその魅力を知ってもらうためなまり節やかつお節を使った朝食を無料で振舞います。食堂はウワサを聞きつけた人々で大賑わいです。
友利さん「大変だ、ははは。一人だとドタバタしちゃいますね」
メニューは、なまり節のしぐれ煮丼、削りたてのカツオ節に宮古味噌をといた味噌汁などカツオづくし。
友利さん「こういう風に若い世代になまり節を知ってもらえる、味を知ってもらえるというのはありがたいいい機会になったと思います」
3年前に橋が開通してから、来島者が80万人にまで増えた伊良部島。友利さんはなまり節から島を元気づけたいと語ります。
友利さん「1人でも2人でもヒットしてくれれば。伊良部島でカツオ漁がしたいとか伊良部島でなまり節を加工した新しい商品を作りたいとか。そういうことに繋がっていけばカツオがもっと魅力的な広がりをみせるんじゃないかなと思います」