さて、春3月旅立ちの季節。県内の中学校ではこんな卒業式の物語がありました。
離島では島に高校がないために進学するためには15歳で島を離れなければなりませんが、今回、渡名喜島の中学校卒業式に密着すると、4人の卒業生に心あたたまるプレゼントが待っていました。
卒業式を前日に控えた渡名喜小・中学校、在校生や先生たちが会場のセッティングなど準備に追われていました。
在校生・中学1年生の女の子「(卒業生たちと)いつも一緒に遊んでいたから、遊ぶ相手も少なくなるからさみしいなって思う(卒業式では)笑顔で送りたいけど、さみしいから…頑張ります」
渡名喜島には高校がないため島の子どもたちは中学卒業と同時に親元を離れて独り立ちするいわゆる「15の春」が待っています。そのため、中学校の卒業式は人生の大きな節目となっています。
慌ただしかったのは、学校だけではありませんでした。人口380人の県内で最も小さな村にある唯一の美容室神奈川から美容師が定期的に島に訪れオープンしていて、今月は、卒業式の前日から営業していました。
島の美よう室・神保了さん「卒業式の前に髪の毛を切るって約束したんで卒業式前には、こっち(渡名喜)に意地でも来ないとなっていうのはあったんで」
卒業生・比嘉新さん「(Qあしたの卒業式のためにカットに来た?)ええ、まぁ(Q今の心境は?)今は(島を離れる)実感がわかなくて、早く高校に行きたいです」
卒業式を飛び越して、早くも新生活への期待が膨らんでいました。
卒業式が始まる30分前、控室では保護者が我が子にコサージュをつけながらまもなく親元を離れていく子どもの成長を感じていました。
保護者・大城さん「最近、感じますね、たくましくなったなと思います。大きいところでもまれて頑張ってくれたらなと思います」
渡名喜島では、小学校と中学校の卒業式が合同で執り行われます。小学校と中学校に幼稚園をあわせても子どもたちが31人しかいないためです。家族のように毎日の学校生活を共にしていて在校生たちも島を旅立つ卒業生との別れを惜しみました。
今年は4人が中学校を卒業し島を離れます。卒業生たちは、大事な門出のこの日に、15年間の感謝を伝えました。
卒業生・大城祐哉さん「僕はこの15年間、村民の人々や親兄弟に支えられて生きてきました。親には迷惑をかけたと思います。また、高校になっても迷惑をかけると思うけど、自立できるように頑張りたいです。高校を卒業したら村民の人々や親兄弟に恩返しできるようにしたいです」
卒業生・比嘉姫李母・球代親子さん「寂しいです。それだけですね。行かしたくないですよ。できることなら、私のそばに置いて家族で生活したい」
卒業生・比嘉姫李さん「あっという間でした。毎日が充実していてとても楽しかったです。今まで渡名喜で育ってきて、たくさんの人に支えられてきたのでその恩返しができるように将来は看護師になって渡名喜に帰って来たいと思います」
卒業の感動冷めやらぬ4人にプレゼントが用意されていました。待っていたのは、1台のヘリコプターです。
エクセル航空 沖縄支社・越智朋之支社長「上空から生まれ育った島を見てもらって、心に焼き付けていただいて、できればまたこの島に帰ってきたいなというようなきっかけにしていただければなと思っております」
島を上空から見渡す遊覧飛行を本島と周辺離島におけるヘリ輸送を担う航空会社が企画しました。
卒業生・又吉好太郎さん「海は青くてきれいで、山は緑できれいでした」
卒業生・比嘉姫李さん「渡名喜を上から見るということは初めてだったので、赤瓦の家もきれいに見えてとても素敵な島だなって改めて思いました」
渡名喜島で過ごした経験を胸に故郷を旅立つ4人、それぞれの夢に向かって、新たな道のりへと挑みます。