外国人観光客が増加したり、沖縄からアジア市場目指し、今、多言語が話せるといった様々なスキルを持つ外国人を採用する県内企業が増えています。
QABでは今週と来週2回にわたり、外国人採用の現状をリポートします。
観光バスの中で、三線を弾きながら、中国大陸からの観光客をガイドするのは、沖縄ツーリストの呉麗玲(ウ リリン)さん。
呉さん「(中国語)あちらに見えるのが首里城です」
呉さん、この日は那覇市内を歩く少人数ツアーのガイドです。およそ7キロにわたるコースを4時間かけて歩きます。
呉さんは福建省出身の24歳。沖縄に来てからわずか1年ですが、ガイドの仕事がすっかり板についてきました。
呉さん「このウオーキングツアーは、ほとんどのスポットがそれほど有名な場所じゃなくて、でもそちらも大切な琉球文化なので、知ってほしいと思います」
呉さん「沖縄戦の時、いっぱい砲弾が落とされて、こちらが残った焼け跡なんです。そういう説明をしています」
呉さんが所属するのは、沖縄ツーリストの国際部。主に外国人観光客の受け入れを担当している部署です。
「(出身は)中国の北京です」「(出身は)台湾の台北です」 「(出身は)韓国の釜山です」「(出身は)中国の新疆ウイグル自治区です」
なんと、この部署、25人のメンバーのうち、およそ7割にあたる17人が外国人なんです。
沖縄ツーリスト国際部・藤井副部長「海外から、日本で、ここ沖縄で働きたいっていう方もニーズがありますので、その方々を取り入れて、自分たちの国の方々にどのように沖縄を楽しんでもらうか、というところをですね発信してもらう」
外国人観光客の需要の増加を見込み、沖縄ツーリストでは3年前から海外でも採用活動を行うなど、外国人の採用を強化。全社員675人のうち、71人が外国人です。もちろん上司も外国人。
沖縄ツーリスト国際部・閔専門部長「いろいろなエリアのお客さんによって、それぞれのところの出身のスタッフがいると、お客さんとしては安心感。(沖縄は)やっぱり人との付き合いも環境も全てですね、完璧です」
呉さんは、会社が契約するアパートで一人暮らしをしています。外国人社員の採用ではこうした住居などのサポートが欠かせません。台所には、中国から持ってきた大量の唐辛子。
呉さん「辛いのがないと食べられないです」
呉さんは、福建省の福建師範大学で日本語を専攻しました。
呉さん「日本のアニメが大好きだから、日本語を専攻にした」
日本語をもっと学ぼうと、呉さんが入ったのが大学にあったエイサーサークル。沖縄との最初の出会いでした。
呉さん「エイサーがきっかけです。沖縄の人が日本本土の人より優しいんじゃないかなと思う」
大学3年生の時には、日本語能力試験で最難関のN1の資格を取得。合わせて、沖縄の通訳案内士の資格も取得しました。
呉さん「沖縄はとってもきれいなところで、海もきれいで、空もきれいで、とても住みやすいところです」
呉さんが現在担当するのは、中国大陸からの観光客。外国人観光客の中には、最近ではレンタカーを使う観光客も増えていますが、中国大陸からの観光客には「特別な事情」があります。
中国人観光客「中国大陸の運転免許証は日本では使えないので、私たちは日本でレンタカーを借りられないんです。沖縄は公共交通機関も少ないので、こういうツアーはとても便利です」
外国人観光客が急増する中、沖縄ツーリストではレンタカーが借りられない中国大陸からの観光客に対して、外国人社員が中心となって独自のツアー商品の開発を行っています。
藤井副部長「外国語だけの対応をするためだけにいるというよりも、これを生かして、新しいビジネスに発展していく」
呉さん「沖縄の文化をもっと中国大陸の人に知ってもらいたくて」
今後もさらなる増加が予想される県内への外国人観光客。沖縄の成長市場を、海外からの新しい人材が支えています。