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県内のこの1年間を振り返る「回顧2017」です。きょうは「基地問題」です。県民が望む「負担軽減」とはかけ離れ、むしろ「負担増」の現実を肌で感じた1年ではなかったでしょうか。

回顧2017(2)基地問題

復帰後、最大の返還として、負担軽減が強調されたアメリカ軍北部訓練場の返還式典。一方で菅官房長官は地元の反発も意識し、こう話していました。

菅官房長官「地元住民の皆様方には引き続き、負担をおかけすることになります」

東村高江で起きた、CH53Eヘリの爆発炎上事故。新たなヘリパッドの負担を押し付けられた高江区に寄り添おうと取り繕った言葉が、最悪のかたちで現実になりました。

高江区民「もう言葉が出ない。これからこういう感じで生活しないといけないと思うと悔しいです」

回顧2017(2)基地問題

事故原因は今も明らかにされていません。

回顧2017(2)基地問題

嘉手納基地の負担増も顕著に表れました。5月には、アメリカ本土のF16が。そして現在も展開するF35A。暫定配備の名のもとに機能強化される嘉手納基地。地域住民が犠牲になっています。

回顧2017(2)基地問題

そして、今年6年ぶりに嘉手納基地で実施されたパラシュート降下訓練。

嘉手納町民「安心できないです。いつ自分たちのところに落ちてくるかわからないので」

兵士らは闇夜のなか、3000mの上空から降下。過去に例のなかった夜間訓練は、地元に不安を広げました。

訓練は漁船やフェリーが航行する津堅島沖でも繰り返し実施され、そのたびに地元の中止要請は無視されました。

回顧2017(2)基地問題

當山宏嘉手納町長「裏切り行為でしかない」

『負担軽減』の本質を問う問題も発生しました。

當山宏嘉手納町長「この一帯(屋良地区)というのは昼夜関係なく激しい騒音、エンジン調整、あるいは排気ガスの悪臭被害をずっと何十年も被ってきたんです。ですからこれを移すという意味でSACO合意があったと」

1996年のSACO最終報告に盛り込まれた、嘉手納基地旧海軍駐機場の移転。今年1月、新駐機場への移転が20年がかりで実現した矢先、旧駐機場の継続使用が確認されました。現在でも、旧駐機場は断続的に使用され続け、政府も事実上容認しています。

回顧2017(2)基地問題

當山宏嘉手納町長「これが最大の、嘉手納町にとっての負担軽減措置だったんです。これがないがしろにされようとしていることについては、決して我慢できない」

回顧2017(2)基地問題

ニコルソン四軍調整官「去年より飲酒運転事故は減少したと理解している。ゴールは事故ゼロだ」

在沖アメリカ軍トップのニコルソン四軍調整官。飲酒運転撲滅の取り組みの効果が上がっているとメディアに語った3日後、事故は起きました。飲酒運転の海兵隊員が運転するトラックが交差点内で対向車と衝突。61歳の男性が死亡しました。海兵隊員が運転していたトラックは公用車で、ずさんな車両の管理体制も問われています。

『排気口の部品の一部が垂れ下がったような状態だったということです』『右プロペラの不具合でしょうか』『訓練中にパネルが落下した可能性が高いとみられ』

落下事故や緊急着陸といった航空機トラブルも機種を問わず、頻発。

回顧2017(2)基地問題

ニコルソン四軍調整官「クルーと沖縄の人々、両方に危険がないよう、安全な航空機を運用することが私の義務で、真剣にとらえている」「訓練は時にうるさく、迷惑をかける。私たちは天気が良くても悪くても訓練しなければならない。昼夜も問わない」

それでも、再び起きた事故。すべての軍用機の飛行停止と点検を求めた県に対し、政府は…

菅官房長官「米側から(飛行を)再開するための措置が取られたと判断して、防衛省において公表した」

過重な基地負担は命の問題だということを再認識させられた2017年。訓練優先の軍に、問題の本質をみない政府と向き合う県民の苦境は続きます。

回顧2017(2)基地問題