好調が続く沖縄観光ですが、県内では3万台を超えるレンタカーが登録され、毎年1万台が中古車として主に本土の中古車市場に流れています。それら、沖縄で使われたレンタカーを中古車として沖縄から直接海外に輸出しようという本格的な実証事業が行われています。
今年7月、那覇港に入港したのは国内最大級の自動車専用船。全長200メートル。高さは46メートルと、15階建ての建物とほぼ同じ高さです。普通乗用車およそ5000台が積載可能で、これほど大型の自動車専用船が県内に寄航するのは初めてです。
この日、船に積み込まれたのは、県内で集められた中古車123台。
これは、沖縄から海外に中古車を輸出するビジネスの可能性を探ろうと県が実施した実証実験で、この日の、自動車専用船を使ったプロジェクトには船舶代理店や、船会社、車両の検査会社など5社がタッグを組んでいます。
池田裕さん「日本有数のレンタカーの市場規模を誇る観光地である、で、島自体は小さいので、走行距離が短いということで、非常にニュージーランドに輸出するのには有効な市場になりえる可能性あると思います。」
日本からの中古車の輸出先としてニュージーランドは代表的な国です。
オレンジ色の色の服を着た男性と、こちらの外国人の女性。車両の確認を終えると、船内をなにやら細かくチェックしています。
ケイトムーディーさん「船内の汚染状況や、生物がいないか、クモの巣がないかなど、船に乗せる車が再び汚染される恐れがないか確認しています。」
藤恵仁素留CEO「特にニュージーランドとオーストラリアに関しては、検疫上の問題に関しては非常に厳しくチェックされていますので、日本でも同じようにその基準に従うようにやっています。」
中古車を輸出するには、輸出先に応じて、車両の安全性や検疫など、様々な検査が必要となります。今回の事業では、こうした輸出前の検査についても本格的に行われました。
池田裕さん「ほとんどいま、沖縄のレンタアップ車、内地に運ばれて、内地に持っていかれた後、そこから輸出されている。これは、機会を損失していると思いますので」
ジョジョヘミCEO「内地まで送るためにかかっている物流のコストが、それがなしで直接出航できれば、沖縄のマーケットのためにもいいし、ニュージーランドのバイヤーも喜ぶので」
中古車を輸出する実証実験としては、もうひとつ、別のプロジェクトも動いています。
豊見城市で行われたオリックス自動車の中古車の入札会。入札会とは、車両を確認して全国の中古車の取扱い業者が、インターネットで入札を行うもの。
初めてとなるこの日は120台が展示されました。
諫山睦男執行役員「『中古車を製造する』という意味で言いますと、沖縄がダントツでございますね」
事業者の中には、海外への輸出を専門とするバイヤーもいます。
栗原哲哉さん「沖縄で買って、それでもうすぐ、海外のほうに出て行くっていう意味ではコストとか考えると、今後非常に有力なるのかなって、そこも大きな魅力ですね」
オリックス自動車はこの入札会を8月から先週までに、すでに10回開催していて、合わせて969台の中古車を出品。
その一部が、沖縄から直接海外に輸出されました。
那覇港での、中古車の輸出作業。コンテナの中に車両を積み込んでいくバンニングと呼ばれる作業です。
長さ12メートル、高さおよそ2メートル50センチの1本のコンテナの中に、合わせて5台の車両を収納します。
タイヤの空気も抜き、車と車の隙間はわずか数センチ。
諫山睦男執行役員「(沖縄は)非常に地理的にも優位性があるので、商流がちゃんと回るように、物流がちゃんと回るようにすればですね、必ずビジネスになるのではないかなと思っております。これからしばらくの間が勝負だと思いますね」
本格的に始まった、県内から海外への中古車の輸出プロジェクト。
輸出前の車両の検査施設の整備や、自動車専用船、専用のバースの整備など、今後の課題はありますが、沖縄の新しい産業の目が芽生え始めています。