2年ぶりの立ち入り調査です。県は先ほど、辺野古の新基地建設予定区域に入り、希少サンゴの状況を確認しました。
立ち入り調査は、新基地建設予定区域で7月に見つかった希少なサンゴの現在の生息状況などを確認するために県が求めていました。
沖縄防衛局は、環境省が絶滅危惧種に指定しているオキナワハマサンゴを移植するとして、今週にも翁長知事に対し「特別採捕許可」を申請する方針で、今回の立ち入りを認めました。県はこのほか周辺の工事の状況も確認したということです。
一方、護岸工事の着工から半年を迎えた25日、海上では、新基地建設反対を訴える抗議活動が行われました。
参加者たちはカヌーおよそ80艇で工事が進められている現場近くの海上に向かい、「美しい海を埋め立てるな」などと反対の声をあげていました。
藻に覆われ、白い骨格が見える「オキナワハマサンゴ」
環境省の「海洋生物レッドリスト」で、絶滅危惧種とされている希少なサンゴです。高い海水温に弱いサンゴ。白化した状態が続けば、そのまま死んでしまいます。
このオキナワハマサンゴは、新基地建設が進む辺野古の南に面した海で、7月5日に発見されました。大規模な白化が問題となった、今年の真夏に、このサンゴはすでに危機に瀕していたのです。
基地建設に反対する人たちでつくるダイビングチームは、それ以前から、サンゴの危機を訴えていました。
牧志治さん「大きいものは80センチクラスのサンゴもありましたし、60センチ級はざらにありました。それから20センチ30センチという、これから大きくなるサンゴが無数にありました」
しかし、発表には時間がかかりました。工事の環境保全策を検討する委員会に希少サンゴの発見が報告されたのは、発見から2か月半も経った先月末のこと。
「確認当初と比較して、その後の高水温による影響と考えらえる白化現象が進んでいる」
資料には、7月5日から22日までの調査で、オキナワハマサンゴのほかにも全部で14群体の生息が確認されていたことが記されています。しかし、国は、その後も「確認調査」を継続。8月18日には、14群体のうち12群体が死滅。
「確認」はさらに続き、先月1日にはさらに1群体が死滅。先月18日に、残るわずか1群体のオキナワハマサンゴが瀕死の状態になったところまでを「確認」した、というのです。
委員「工事の影響というのはないのでしょうか」
沖縄防衛局「サンゴに影響のあるような工事をやっているところではないので、その影響はないと考えております」
委員会の議事録をみると、工事の影響を疑う委員1人の発言が記されています。ただ、調査中に希少種のほとんどが死滅したことへの批判はみられません。
死滅した13群体のサンゴを救うチャンスはあったはず。委員とは別の専門家は、批判を強めます。
この環境監視委員会を機に沖縄防衛局は、残る1群体のサンゴを移植する方針を明確にし、手続きを進めています。
翁長知事「沖縄防衛局長に対し、工事を直ちに停止をして。環境保全対策の事前協議をやり直すこと、県の立ち入り調査に応じることを柱とする行政指導文書を発出致しました」
瀕死の状態に陥ったサンゴ、1群体の移植といういわば「踏み絵」を踏まされる状況となった翁長知事。難しい局面を迎えています。