三男三女の父親。伊良部島でカニの養殖を手掛けるカニ漁師、ニックネームは海老蔵ならぬ蟹蔵。吉浜崇浩さんです。
『一番伝えたいのは、この伊良部の美しい海をみんなに見てもらって、感動したり幸せになってほしい』
今日のQプラスリポートは、伊良部島・蟹蔵の新たなチャレンジに密着しました。
伊良部島・佐和田地区にあるマングローブガニ養殖場「蟹蔵」。
『これがアミメノコギリガサミといって、マングローブガニの王様と呼んでいる』
『(スタッフ:この前、お邪魔させてもらった蟹の養殖場ですよね?)あれから台風の影響がすごかった。また一からですよ』
先月、先島諸島を直撃した台風18号。その影響で養殖場に海水が入り込み、100キロ以上の蟹が被害にあいました。そんな状況にもかかわらず、新たなチャレンジに乗り出しているんです。それがこちら、ティラピアと呼ばれる魚の養殖です。
『カツオ漁の餌をとる漁師自体の高齢化だとか、少なくなってきている』
現在、カツオの餌は、追い込み漁でとられていますが、その漁師の高齢化とともに、後継者不足で漁自体に出られない日があるそうなんです。そこで、カツオ1本釣りの餌を養殖することで、伊良部島の伝統漁「カツオの1本釣り漁」の力になれないか。その思いで、魚の養殖にチャレンジしているんです。
しかし蟹蔵の挑戦はこれだけではありません。
『ひいおじいが帆船に乗っていたという話があって、憧れていた。これで入り江に入ったりとか海へのつながりを伝えられたら最高だなと思って手に入れました。これで美しい伊良部の自然を伝えたい』
伊良部島の美しい自然を伝えたい。そこには、ただ美しい自然を伝えるだけではない、蟹蔵の「ある深い思い」が…。その思いとは…
翌朝、早朝からサバニに乗せてもらいました。
『(スタッフ:スゴイ景色ですね)すごいでしょ。日本の渚100選にも選ばれている海で漁ができて幸せですよ』
日本の渚100選にも選ばれている伊良部島・佐和田の浜で、今年の夏から始めたサバニのクルーズ観光。県外や海外からも多くの観光客が体験しに訪れています。そして、サバニは海から入り江の中へ。
『きれいですね。やっぱりあの入り江に入って海を見る。その感動は毎日見ても同じ感動』
美しい伊良部島の原風景。多くの大自然が残されています。しかしその一方で…
『竹の赤い棒、これは工事に入る』
入り江の中は、以前にもまして開発が進んでいます。
『蟹とかもここで大きくなって、外で産卵する。外で産卵したカニがここに戻ってくる。生き物が返ってくるような自然を残したい』
島の発展のためには開発も必要。しかし、その開発が急激に進むことで島の自然が失われ、生態系が変わることは避けなければなりません。
『自然の移り変わりとかを伝えながら観光すると、考える、自然に関してね。ここに観光してくれた人たちも、自分の地元に帰った時に自分の地元を見つめなおす』
伊良部島のサバニクルーズ。そこには、「自然の大切さ」を改めて感じてほしい。そのキッカケになってほしいという蟹蔵の切なる思いがありました。
『(スタッフ:蟹蔵にとって伊良部島とは?)自分が生まれ育った愛する島ですね。愛の結晶です』
故郷・伊良部島の美しい自然を伝える蟹蔵。彼の挑戦はこれからも続きます。