伊波「楽園の海 案内は水中ビデオカメラマンの長田勇さんです。「サンゴの産卵 2017 Part2」です」
長田「今回は、巨大なテーブルサンゴの産卵をお見せしたいと思います」
伊波「まちに待ったパート2、早速見て行きましょう」
長田「まずは、昼の映像から。このテーブルサンゴ、直径4mを超えているんですが、ひょっとしたら石西礁湖に残っているテーブルサンゴの中で、 最大かもしれないんです」
伊波「このサンゴが、産卵したのか夜が待ち遠しいですね」
長田「取材を始めて5日目の夜・・・ラストチャンスです。タコは、私の焦りの気持に気付く事もなく、我関せずといった面持ちでのんびりとしています」
伊波「空気を読んだのか、どこかに行っちゃいましたね」
長田「午後7時40分、待望のミドリイシサンゴが産卵を開始しました。ウスエダミドリイシですね」
伊波「ポリプから放たれる瞬間を見ていると、サンゴが動物だって実感できますね」
長田「実際にはこの卵をバンドルと言うんですが、中に精子と卵子が詰まっていてバンドルに入ったまま水面に到達した後に、弾けて他の精子卵子と受精するんです。ですからこの種類は、ほぼ同じ時間帯に産卵します。
伊波「ほぼ同じ時間帯に産卵するなんて、本当に不思議ですね」
長田「サンゴ礁近くには、寝ていたアオウミガメがいたんですが、私が近づいたことによって、動きだしてしまいました」
伊波「きっとライトが眩しかったんでしょうね」
長田「お邪魔してすいませんでした。そしていよいよ・・・」
伊波「待ちに待った瞬間ですね」
長田「午後9時55分。巨大テーブルサンゴの方から、大量の卵が流れて来ました!ハナバチミドリイシの産卵が始まりました」
伊波「これだけの大きさになると、卵の量も凄い数!」
長田「まるで宇宙空間に漂いながら撮影しているような気分になります」
伊波「画面に映りきれないほどの大きさのテーブルサンゴですね」
長田「夜になって撮影して気付いたんですが、サンゴが大きすぎて全体像が映せない」
伊波「贅沢な悩みですね。」
長田「近くのテーブルサンゴも、産卵をし始めていました。この日は流れもあったので、ダイバーに真っ赤な卵の集団が、襲いかかって来ている感じになってました。知り合いのインストラクターに来てもらってたんですが、石垣在住で毎年サンゴの産卵を見られているのに、これだけの大きさのテーブルサンゴの産卵を見たのは10年ぶりと言ってました」
伊波「貴重な瞬間に立ち会うことが出来たんですね。
長田「テーブルの下を覗くと・・・」
伊波「以外と細い柱で頑張って支えているんですね」
長田「水深5mにありながら、台風でひっくり返される事もなく、33℃の水温にも耐えたサンゴ。もういつまでも産み続けてくれ~と、思いながら撮影してました」
伊波「そうですね、来年も是非この光景見たいです」
長田「私も毎年サンゴの産卵を撮影していますが、これだけ1つのサンゴの産卵シーンに出会って嬉しかったのは、初めてかもしれません」
伊波「去年の水温上昇によるサンゴの白化現象は、衝撃的でしたよね」
長田「ニュースでは、悲観的な内容ばかりでしたから・・・もう石西礁湖のサンゴはすべて死んでしまったと思っている人も少なくありません。でも見て下さい!この卵の量!!希望の光が見えた瞬間のように感じました」
伊波「今日もきれいな映像をありがとうございました。以上楽園の海でした」