恩納村のダム工事現場でアメリカ軍の演習によるものとみられる流れ弾が見つかったことを受けて、4月17日、恩納村長と区長が沖縄防衛局やアメリカ軍に対し抗議しました。
長浜善巳恩納村長は「ここ(現場)には、多くの建設現場の作業員が作業している。一歩間違えれば、人命にかかわる大きな事故が予想された」と抗議。
要請には、安富祖区の宮里勇区長も同行し、事件に抗議したうえで、原因究明と再発防止を口頭で強く求めました。
これに対し、中嶋沖縄防衛局長は、「住民に不安を与え申し訳ない」と謝罪、原因については、アメリカ軍が調査中と述べるに留まりました。
要請後会見した長浜善巳恩納村長は「拳銃の弾が実際に当たっている。またタンクに刺さっている状況が確認できるので、米軍施設から飛んできたであろうと推測できる」と話していました。
タンクに刺さっていた銃弾は、民間地と米軍施設を隔てたフェンスから200mほどの場所で見つかっています。また車を破損させた銃弾はダムの工事に従事している業者の駐車スペースで発見されていて、いずれも一歩間違えば大惨事になっていた可能性があります。
事態を重くみた県は17日、職員を現場に派遣しましたが、現場はアメリカ軍施設内のため、フェンスの外から位置関係などを確認するにとどまりました。
立ち入りの手続きには通常1、2週間ほどかかるということで、県は手続きが済み次第現場に入り、銃弾が発射された方向などを調べる方針です。
まずは、こちらをご覧ください。現場付近の地図なんですが、こちらが流れ弾が見つかった「ダムの工事現場」です。そのすぐ先、数百メートルのところには、安富祖の集落があります。そして、すぐ近く。
ご覧の赤く示した場所がアメリカ軍の実弾演習場とみられていています。その近さから、住民には不安が広がっています。
野島記者「着弾した工事現場の近くには、御覧のようにゲートの中に畑があるほか、ゲートの外にもビニールハウスや、田んぼが広がっています」
近くに住む区民は(女性)「怖いですよ。いつ何時…避難しなさいという命令が来ないとも限らないしね。そのぐらい怖い。この山は」
近くで農業をする区民は(男性)「不安ではあるさ。そういうのがあったら。白い煙。噴煙が出る時もある。あってほしくないが、たまたまそうなったかわからないが、ないほうがいいさね。もし怪我でもしたら大変さ」
野島記者「私も、週末ときょう現場に行ったんですが、アメリカ軍側は演習を中止しているといっています。しかし、ちょうどこちらの方角からは、午後も、バラバラと射撃訓練をしている音が聞かれました。おそらく私たちがわからないさらに近い演習場のみ訓練を中止しているのではないかといった状況でした」
謝花アナウンサー「キャンプハンセンの周辺では、被弾事故が相次いでいます。ちらは、復帰以降のキャンプハンセン周辺で起きた被弾事故なんですが、例えば1988年の事故。私も2000年を過ぎてから、取材をしたのですが、沖縄自動車道サービスエリア内の給油所、レストラン、伊芸区内の酒造所、そして住宅が被弾しています」
謝花アナウンサー「さらに、復帰以前までさかのぼると、人身事故も起きています。1956年には、庭先で遊んでいた3歳の女の子が、右足にけがをしています。1964年には、部屋で化粧をしていた19歳の女性の右足に、銃弾が当たって大けがをしています」
野島記者「はい。そうした多くの事件があることに加えて、過去、伊芸区で着弾が見つかった際は、アメリカ軍は、最終的に「証拠が不十分」として「最近の訓練とは関係ない」と結論をけむに巻いたケースもありました。原因究明をどこまでやるかもしっかり注視する必要があると思います」
謝花アナウンサー「一体ほかのどこに、こんな危険と隣合わせのところがあるでしょうか。こんな狭い地域で、実弾を使った訓練が行われること自体、極めて異常です」