こちらは西原町に放置されている廃タイヤ。撤去命令に従わない業者に代わって、県が処分する方針を固めました。なぜこうなってしまったのでしょうか。
久田記者「現場は西原町内の工業団地の一角にあります。無秩序に積まれたタイヤが山のようになっていまして、隣の2階建ての建物と比べても、相当な量のタイヤが積まれていることが分かります」
推定11万2千本にも及ぶ廃タイヤの放置が問題化したのは、およそ8年前。県によると所有する産廃業者は、保管基準違反を指摘した県の再三の撤去命令に従わず、5年前(2012年2月)には廃棄物処理法違反の罪で有罪判決を受けていましいた。しかし、それでもまだ、タイヤは残されたままです。
付近で働く男性「このタイヤは水が貯まって蚊が発生するんですよね。夏はもう大変です」
付近で働く男性「仕事中は(暑くて)閉められないものですから蚊取り線香とか傍でたきながら」
近隣で働く人たちは、毎年大量発生する蚊の被害に悩まされています。
またこんな不安も口にしました。
付近で働く男性「ゴムだから、誰かが燃やした場合、もうすごいですよね。そういうイタズラする子もおらんけども、もしかしたら大火になるかもしらんですよね」
タイヤは、燃えやすく消火にも時間がかかる「指定可燃物」として、管理方法が厳しく規制されていて、違法な長期保管は許されていません。そうしたなか大量のタイヤが集められ放置されたのは、古タイヤを燃料として再利用する国々へ向けた輸出ビジネスが、原油価格の低下などで成り立たなくなったことが背景にあるとみられます。
今回、業者にも取材を試みましたが、事務所に人の姿はなく、電話もつながりませんでした。
付近で働く男性「どうしようもない、県がやらないと、ずっとあるような状況じゃないですかね」
県は今月中にも行政代執行による撤去作業に着手する方針です。実現すれば県内では初めてのケースになります。しかしなぜ長年、危険を放置する事態を避けられなかったのでしょうか。
東部消防予防課玉城雅史課長「過去に消防のほうから、2、3回(口頭の)行政指導を行っています。平成23年3月31日までには撤去しますよ、という約束は当時の担当からは聞いています」
当初消防署は、警察とともに立ち入り調査をし、業者を指導していましたが業者が「廃業」を届け出たため、それ以降は、指導対象から外されていたというのです。
事態が長期化したうえに、結果的には代執行せざるを得ないという事態に、なんとも言えない後味の悪さが残ります。
数千万円にも上ると見られる撤去費用の回収は、困難なことが予想されます。そうなると費用は結局、県民の税金から支出されるわけで問題の初期から業者への厳しい指導などが求められます。