きょうは今注目を集めている話題の花を紹介します。花の美しさもさることながら、そこには新たな市場開拓への可能性も秘められていました。比嘉夏希さんのリポートです
淡い色に柔らかな花びら、優しく可憐な姿が印象的なこの花が、今…!?
県外市場関係者「本当に素晴らしい仕事をされている」「非常にもう期待は高まっています」
市場の熱い視線が注がれる花、トルコギキョウ!今県内で大旋風を巻き起こしているんです!
先月、県南部にあるハウスに集まった農家や県外の市場関係者たち。その視線の先にあるのがそう、今回の主役「トルコギキョウ」です。
これまで、ほとんど県内では生産されていませんでしたが、近年出荷本数は右肩上がり!当然、取り扱い高もぐんぐん伸びて、なんと4年前のおよそ10倍になっているんです。どうしてこんなに、今”キテいる”のでしょうか?
市場関係者「需要は非常に高まっているんですけど、国内の生産量が実は減少している。この時期にトルコギキョウを出荷するとなると、本州では暖房が必要。この土地(沖縄)は無加温でできる、しかも今一番供給量が少ない4月、5月の母の日にむけて、どんぴしゃで沖縄がハマる」
その「ドンピシャ」な理由がこちら。トルコギキョウの出荷量が全国的に落ちる春に、ちょうど出荷のピークが当てはまるのが沖縄。しかも、主力のキクのピーク、正月と彼岸にも重なりません。
そうした新たな市場へ期待をかけたJAおきなわは、4年前に生産強化に乗り出しました。県内でもいち早く生産を始めていた、農業生産法人ゼロファームと連携。繊細なトルコギキョウ栽培のノウハウを習得し、JAを通じて個人農家に発信してきましたが、そこには情熱を支える格別の想いがありました。
ゼロファーム・竹下零生取締役「トルコギキョウの農家は皆さん好きでやっている方が多い。やっぱり花が綺麗じゃないですか。夜まで働くときとかありますけど、みんな咲いた花を見て、花を見ながら仕事ができるから続けていられる」
従業員「綺麗だし、やりがいはあります」
フランスからのインターンシップ生「いいね、好き。きれいな仕事だから」
このゼロファームの現場を目にして、トルコギキョウの虜になった若手農家がいました。仲間健哉さん。父はキク農家でしたが、4年前、トルコギキョウへの挑戦を始めました。
仲間健哉さん「キクは電照で作るので、トルコは(生産者)一人ひとりの個性が出ると思っています。(Q:見た目の美しさに惹かれた?)ありますね。やはり1本1本『顔』が違うので。1本1本、木の力も違うし、それを自分で作り上げるっていうのが、そこを楽しんでやっています。(Q:ゆくゆくはナンバーワンに?)目指していきたいですね。やるなら」
トルコギキョウに魅せられたのは、仲間さんだけではありません。
仲嶺千春さん「(生産を始めて)私自身が変わったかな」
仲嶺稔さん「だいぶ変わった。畑に行くようになっている自分から。小菊のときは畑に行かなかったのに(笑)」
仲嶺さん夫妻。夫の稔さんは代々小菊を生産していましたが、妻・千春さんがトルコギキョウにひとめぼれ。夫婦二人三脚、愛情たっぷりに育ててきて、3年目となる今年、なんと品評会で金賞を受賞しました。
千春さん「あれは本当にラッキーな偶然がちょっと重なったというか。たまたまうちは早く植えたので(コンテストに)間に合うぞっていうことで。良く間に合ったね」
稔さん「いや、それを目指してやってたの。偶然とか、そんなんじゃなくて、それを目指してやってたの」
千春さん「(トルコギキョウは)花一輪でもあげただけで、みんないい顔になるんですよ。本当にうれしいです」
稔さん「トルコギキョウをみんなに知ってもらって、もっと良い花を作って、それがそれが広まってくれたらいいなと思います」
生産者の想いと、市場の期待は、高まるばかりです。
市場関係者「300万本行くと日本では10県のうちに入ってくると思うので、ゆくゆくは600万本くらいまで増やしていただいて、トップ5に入っていただければ」
JA担当者「可能性については十分あります。ただ、生産農家の技術も上げながら市場の協力も得ながら、消費者の皆さんの評価も得ながら伸ばしていきたいと思っております。あと2,3年ではキクに次ぐ品目になるかと思います」
県産のトルコギキョウはこれから4月にかけて出荷の最盛期を迎え、様々なシーンで、出会いや別れを見守ります。花言葉は「希望」。生産者の「希望」を乗せて、沖縄から全国へと花開いていきます。