約60年間親しまれてきた名護高校の学ランとセーラー服が、役目を終えることになりました。お世話になった制服を何かの形で残そうと、保護者たちが制服でコサージュを作りを行いました。どんな思いが込められたのでしょうか。
卒業生「先輩方から受け継いできたものをきちんと思いながら将来に向かっていけるような卒業式にしたいです」
山本記者「卒業生たちの胸元を華やかにしているコサージュ。これにはおよそ60年の歴史と思いが詰まっています。」
およそ90年の歴史を持つ名護高校。学ランと、セーラー服の制服が導入されたのは60年程前でした。これまで、のべ2万3500人あまりの生徒たちが親しんできた制服ですが、2015年、学科再編に伴い、新しい制服の導入が決まったのです。
3年生の担任を務める喜屋武郁美(きゃんいくみ)先生。名護高校出身で、制服の選定にも関わった一人です。
名護高校卒 喜屋武郁美先生52期生「グレーというのが名護高校の伝統の色ということもあったので、そちらの色を入れるということで。新しい思いというか、子どもたちに対する希望の形なのかなと思っているので」
新しい制服のスカートの裾には名護高校の伝統を引き継ごうと、今の制服のベースカラー・グレーのラインが入りました。
しかし、それでも、60年親しんだ制服と別れるのを忍びなく思った保護者たちは何か形にして残せないかと検討。制服でバラのコサージュをつくり、卒業生の門出に花を添えようと決めたのです。
PTA与那国かおりさん「バラのように輝く人生をってことだったので、この子たちの人生がこれから楽しいように」
花びらは夏服のグレーのスカートで中心には学ランのボタンが添えられました。のべ150人が参加し完成させた320個あまりのコサージュ。卒業式を前に、保護者から石原啓(あきら)校長に手渡されました。
与那国かおりさん「3年の保護者全員から3年生の卒業生みんなに思いを込めてつくりましたコサージュです」
保護者の中心となってコサージュ作りに励んだ与那国かおりさん。実は、与那国さん自身も名護高校の卒業生。今回は娘の愛希さんが卒業を迎えます。
与那国かおりさん「(娘は)作っている作業とかずっと見守ってくれてたんですね。それで、そばからもお母さんありがとうねっていう風に言ってくれたので、それをつけて卒業式、立っているのを想像すると言葉にならないっていうか。楽しみですね」
石原啓校長「家族の方の思い、そういったものが詰まっていますので。やはり周りの支えがあって卒業していくんだなという思いを改めてまた卒業生にも持ってもらいたい」
与那国かおりさん「あきだー」
与那国愛希さん「(花などを受け取るあきさん)ありがとう」
与那国さんの娘、愛希さんに花束を渡しているのは、祖母の宮城多美子(みやぎたみこ)さん。宮城さんも名護高校の卒業生です。
宮城多美子さん「親子三代続いて同じ名護高校っていう学校で学べたことが制服にも繋がってきたことだし、それが一番心に残りますね」
与那国愛希さん「もうなくなってしまう制服がコサージュとして新しい形になって自分たちの胸についていて、親の愛とか南燈同窓会(名護高校同窓会)の方々の愛を感じました」
与那国かおりさん「子どもたちの頑張る気持ちとか、親が子どもたちを応援する気持ちとかは変わらないと思うので見守っていく皆さんが(制服に)関心を持ってくださったってことが大きなプレゼントだとおもうので本当によかったです」
制服が変わっても、名護高校の伝統や卒業生たちの思いは次世代に受け継がれていきます。