伊波「楽園の海案内は水中ビデオカメラマンの長田勇さんです。これからよろしくお願いいたします。きょうは「本部半島でマニアックダイビング」です」
長田「今回は、北風の吹く冬場でも潜りやすい、本部半島に行ってきました」
伊波「マニアックダイビングということですが、どんなダイビングになったのか早速見ていきましょう」
長田「名護市と本部町の境に近い所で潜って来ました。今回はボートではなく、陸からのエントリー。1日に4回潜って、おじさんヘロヘロになりましたが、はたして水中は・・・・」
伊波「早速、お魚がいますね」
長田「干支にちなんだ生き物として登場した、ツバメウオが出迎えてくれました。漁礁には様々な生き物が寄りついてきます。ツバメウオも、こういった漁礁のある中層で群れている事が多いんです」
伊波「仲間をたくさん連れて、気持ち良さそうです」
長田「漁礁横の水底で、なにやら怪しげな行動をとる生き物が・・・」
伊波「タコですか??しかも2匹いますね」
長田「実は、交接中でした。タコのオスは、足8本のうち1本は生殖器なんです。先端に吸盤がないこの足は、交接腕と言ってメスの体内に挿入することで、受精します」
伊波「あ、ちょっかい出されて、真っ赤になっちゃいましたよ」
長田「ちょっと悪いことしちゃいましたね。この漁礁を住処にしているみたいなので、ここに卵を産みつけて、育てるつもりだと思いますよ」
伊波「無事に卵が産めるといいですね」
長田「ここからは、かなりマニアックな生き物が出てきます。ヒゲモジャハゼ。カモフラージュ上手な生き物ですが、どこにいるか分かります?」
伊波「あ、目が2つあるのでかろうじて分かりますね」
長田「普段は砂に隠れているので、なかなかお目にかかれないハゼです。砂をどかして、名前の由来を見てみましょう」
伊波「隠れちゃいましたよ!」
長田「なかなか全体を見せてくれません。大きさは・・・1.5cmくらい、私の指と比べても、小さいのが分かりますね」
伊波「本当ですね。とても小さいです」
長田「時間をかけてようやく顔のアップの撮影成功」
伊波「ひげがあって貫禄がありますね」
長田「そして、いまだに謎の多い生き物、ハナヒゲウツボとも会って来ました。まずは成魚。綺麗なツートンカラーです。いつも口をパクパクしながら獲物を狙ってます」
伊波「ヒゲが花びらみたいで可愛いです」
長田「こちらは幼魚。真っ黒なんです。太さは成魚の5分の1くらでしょうか」
伊波「アップで撮っても、真っ黒過ぎてよくわからないですね」
長田「そして・・・黄色バージョン。全身黄色っぽい個体は5年か10年に一度現れるかどうかってくらい珍しいし、謎が多いんです」
伊波「謎ですか?」
長田「黄色い個体は、『老成魚』と言われたり、『メス』と言われたりしているんですよ。「幸せの黄色いハンカチ」ならぬ「幸せの黄色いウツボ」なんて言われて、ダイバーに人気です。3色いっぺんに見られるポイントは、沖縄でここだけだと思います」
伊波「貴重なポイントですね」
長田「最後は、ダイビング歴30年で初めてみた、トラフザメの赤ちゃんです。成魚はたま~に見かけるんですが、赤ちゃんは初めて。体長50cmくらいかな」
伊波「小さいですけど、サメの風格がありますね」
長田「11月にこのポイントで発見されてから、12月までたくさんのダイバーが見に行きましたが、今年に入ってからは、見られなくなってしまったようです」
伊波「どこに行ったんでしょうか?」
長田「誰かに捕獲されたり、もしくは里帰りしているのかもしれません。」
伊波「無事成長した姿をまた是非見たいですね」
長田「寒くなって来ると、海に行く機会も減ってしまいますが、こんな楽しい出会いもありますから、ぜひ潜りに行ってくださ~い」
伊波「長田さん、ありがとうございました。以上、楽園の海でした」