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毎年11月25日から12月1日は、犯罪被害にあった人々への支援のあり方を考える「犯罪被害者週間」です。この週間に合わせ先月犯罪に娘を奪われた女性が講演を行いました。女性の言葉から、事件以降も続く苦悩が見えてきました。

先月30日、南風原町で講演会が開かれました。

Q+リポート 被害者の兄弟・姉妹たちへの支援

登壇したのは、福島県に住む渡邉佳子さん。少年の手で娘の命を奪われた犯罪被害者遺族の一人です。‐‐‐渡邉さんの長女、朗子(あきこ)さんは当時16歳おしゃれが好きで、将来はファッション関係の道に進みたいと話していた高校2年生でした。

1996年の8月そんな朗子さんを悲劇がおそいました。

朗子さんに交際を断られた事を逆恨みした当時17歳の少年が、ゲーム感覚で犯行を計画。用意していた金づちで背後から襲いかかったのでした。犯行後、少年は自分の母親に相談。その母親が運転する車で市内の山林に向かい遺体を遺棄しました。

シングルマザーとして働きながら子ども3人を育てていた渡邉さん。大切な娘を失った悲しみや辛さに加え、あることに悩まされ始めます。裁判などが忙しく続く中、残された2人の子供たちと接する機会が少なくなっていったのです。

渡邉佳子さん「加害者家族は団結し、被害者遺族は崩壊する、ということを聞いたことがありますか。まさしく私の家族がその言葉の通りでした。当時の自分の事はもちろん、あの子たちはどうしていたのだろう、いつから学校へ行ったのだろう、どんな気持ちでいたんだろう。そんな大切な記憶も私には曖昧です」

そんな渡邉さんが助けを求めたのは、大阪を拠点に活動する少年犯罪の被害者遺族でつくる自助グループでした。

会に参加し、自分と同じような悩みを抱える家族が多いことに気がついたのです。

Q+リポート 被害者の兄弟・姉妹たちへの支援

渡邉佳子さん「何年たっても本当に中々立ちなおれない、自分たちが悪いわけではないのにどういうわけか親子の関係が崩れてしまうことがすごく多くって。親は子どもを事件や悲しい想いから遠ざけたいとおもうんですけど、それは絶対無理なことで。どうしたって、子どもたちにもいろんな事が押し寄せてくるんですね」

その会が年に1度開く総会に渡邉さんの姿がありました。会の名前は「WILL」少年事件で子どもを失った親たちが亡くなった子ども達の無念な思いに耳を傾けてもらおうと開いています。

犯罪できょうだいを失ったあと、そのきょうだいたちがどんな悩みを抱え、どのような支援を必要としているのかを考えました。

佐世保女児殺害事件被害者の兄「自分に対して話をするって人はいなかったですね。あくまで周りの人が話している情報からいまこういうことが起きているんだ。自分で調べなきゃ自分の家族の事件の情報を知ることが出来ない状態であった」

渡邉佳子さん「子どもと事件の事に向き合うということは今まで一度もなかったんですね。20年もすれば一応日常生活を取り戻して子ども達が大人になってお母さんになって生活をしているんですけども、日常生活が大切になってきて事件の事を持ち出して「どうだったの?」っていう機会がなくなってしまったんです」

今年4月、政府は「第3次犯罪被害者等基本計画」を発表しました。

Q+リポート 被害者の兄弟・姉妹たちへの支援

犯罪被害者の意見を取り入れ、今回はじめて、被害者の兄弟姉妹に対する支援の重要性が明記されました。渡邉さんも事件から20年がたち、初めて子供たちと事件当時の事を話したと言います。そして初めて、子ども達の気持ちを知ったのでした。

渡邉佳子さん「下の子はなるべく普通にしようと教室に入り、友だちと笑ったりしていると、「あの子なんで笑っているの」と言われ、どうしていいか分からなくなったと言います。昨日まで一緒にいた人がいなくなった事実を受け止めきれない状態で彼女たちは辛かったけれど、学校に行くという選択肢しか残されていなかったと言いました。この時期の対応で、子ども達の将来の長い時期の使い方が決まってきます。手助けが必要です。」