北部訓練場の新たなヘリパッドの完成が近づくなか、11月11日翁長知事が、改めてオスプレイの配備撤回を求めました。会見には国頭村長も同席する予定でしたが、直前に出席を取りやめる釈然としない事態となりました。
翁長知事は11月11日県庁で会見し、アメリカ軍北部訓練場で完成間近となっているヘリパッドをめぐり、オスプレイの配備撤回と環境影響評価の再実施を国に求めることで国頭村、東村と合意したと発表しました。北部訓練場をめぐる一連の問題で県と地元が共同で声明を発表するのは初めてです。
会見で翁長知事は「北部訓練場のヘリコプター着陸帯移設に伴う環境影響評価については、CH53ヘリを対象に行われたことから、現在建設が進められている4カ所の着陸帯の運用が開始される前に、オスプレイを対象とした環境影響評価を早急に実施することを求めてまいります」と話しました。
翁長知事はこれまで、ヘリパッドの建設そのものには反対していません。11日の会見は東村、国頭村と共同で声明を発表することで県と地元との結束を強調する狙いもあったとみられます。しかし、会見に同席する予定だった国頭村長は直前にキャンセル。釈然としない会見となりました。
県は今回、オスプレイの配備撤回と、オスプレイの訓練を前提とした環境影響評価という、一見矛盾した2つの要求をしています。そうせざるを得ない背景には、先に完成した2つのヘリパッドで、すでにオスプレイの訓練が繰り返し確認されているため、負担を受ける地元の住民への影響も把握しておかなければならないという苦しい事情があります。
環境アセスに詳しい桜井国俊沖大名誉教授は「残りの4カ所も含めて提供されるようになれば、実際に運用の段階に入るわけですね。建設はすでに進行しているわけですが、運用に至って本格的に人々に、自然環境に影響が出る、その前にアセスを行う。これは意味があると思うんですね」と話し、環境への影響を正確に把握する再評価が不可欠だと指摘しました。
オスプレイの配備については、アメリカ軍はヘリパッドの計画段階からその運用を明言していましたが、国がひた隠しにしてきた経緯があります。今回の一見、矛盾するような会見の裏には、受け入れを鼻先まで突きつけられている地元の現実に配慮した苦しさが透けてきます。