昔からの漁の手法を守り、今に継承されている久高島でのイラブー漁の様子です。なかなみることができない漁に密着しました!
久高島で400年以上前から行われているイラブー漁。その漁は昔から変わらず、何と手づかみ。星明りとイラブーが寄ってくる音を頼りに、真夜中、行われています。
今日の特集は、沖縄の貴重な文化遺産「久高島イラブー漁」に完全密着です。
沖縄本島からおよそ5キロ離れた神の島「久高島」。この島で400年以上前から行われているのがイラブー漁です。イラブー漁は島の位の高い神人に許された神聖な行為で、今は女性2人だけで行われています。
節子さん「(Q:節子さんはイラブー漁していてどういう時が一番楽しですか?)捕まえて捕る瞬間が楽しい!」
神人の古波蔵節子さんと福治洋子さんです。
夜間、産卵のために岩場にやってくるイラブーを捕まえます。イラブーが産卵に寄りつく地形はサンゴの石灰岩が隆起し比較的水深が深くなっている海岸。かなり狭い場所での作業です。夜の潮が満ち始めるころと引き始めるころに岩場に入ってくるイラブー。すると…
節子さん「2本!! ほらほらほら!入ってきた!!!」『うわーー!結構大きいですね』
長さ1m越えの大物2匹をいきなり捕獲。
節子さん「気持ちいい!楽しい!」
イラブーはコブラ科で毒を持っていますが、正確はおとなしく、噛むことはほとんどありません。
節子さん「今度はこっちに入ってる。今度はこっち側に入っていた。大きい大きい!!」
12月までがイラブーの産卵期で、この時期は、ほぼ毎晩、漁が行われています。午後9時をまわったところで漁は終了。
節子「(Q:今日は何匹捕れた?)8本!」
この時期、イラブー漁をやっているおばあたちに、ゆっくり休む時間はありません。翌早朝からはイラブーの燻製作業が待っています。燻製作業が始まるのは午前6時。捕獲されたイラブーはこちらに保管されていて、180匹以上集まると燻製作業が行われます。
まずは、軽く茹で上げたイラブーの鱗を綺麗にはいでいきます。小さなイラブーはこのように丸めて、そして大きいイラブーは垂直に立てて冷ましていきます。
冷まされたイラブーは「バイカンヤー」と呼ばれる専用の燻製小屋で丁寧に燻製処理が行われます。熱い部屋の中、煙に燻されながらの作業はかなりの重労働。専用のマスクを付けないと息もできないぐらい、大変な作業です。
そして6時間におよぶ燻製作業が終了。このあと1週間かけてじっくり仕上げていきます。
そして出来上がったイラブーがこちら。
西銘区長「10分の1」『えっ!10分の1!?そんな軽くなるんですか』
燻製にすることで重さが何と「10分の1」にまで軽くなるんです
琉球王朝時代に王府への献上品だった久高島のイラブー。古来より滋養強壮の薬膳として珍重され、イラブー汁として食べられてきました。
洋子さん「イラブー漁ってやっぱり生活もあるし、自分の楽しみ。そういうことがあってやっている」
節子さん「ずっと、次の世代に続いてほしい」
今も昔も変わらぬ技法で行われているイラブー漁。それは、まさに沖縄の貴重な文化遺産です。