石垣などで白化の被害が深刻化しているサンゴ礁。先日、その再生に向けた事業の成果が発表されました。サンゴの再生にかける沖縄が世界に誇れる取り組みをしています。
先週、恩納村で、サンゴの研究者や漁業者らが集まり県内で初めてのシンポジウムが開かれました。そのテーマとは、サンゴの移植計画。白化やオニヒトデなどで減少したサンゴ礁を再生させようと、県が7年前から実施しています。
中でも最も力を入れている恩納村漁協との取り組みでは、これまで11万本余りを植え付け実に世界初でも初めて3ヘクタール以上の広い範囲でサンゴの移植に成功したことが報告されました。
恩納村漁協比嘉義視指導員「サンゴ礁の海域は、帯状に生えているので、サンゴがそもそも生えている適地で、前方礁原、リーフの内側、そこをやって恩納村の海岸線46キロあるので、その中で最適な地域と言うことで、前兼久の漁港前を選んでいます。」
事業を始めてから7年、その過程では様々なことがわかってきました。何もない場所に移植するのではなく、元々サンゴがあった場所に植えることが移植の成功につながることがわかってきました。また試行錯誤の末、改善したこともあります。サンゴの生存率です。
移植したサンゴが、自ら産卵するようになる3、4年後まで生き残る確率は、これまで50%前後でした。それが技術改良で年々改善もしてきたのです。
恩納村漁協比嘉義視指導員「した二つが定着型基盤で、これを改良したのが、円柱型基盤。これをさらに改良して、四角柱型基盤というふうに改良していきますので、改良するごとに生存率が高くなる傾向があります。」
一方で、課題もあります。サンゴの移植には、多くの人手や毎月のオニヒトデ駆除などに莫大な予算が必要となるのです。県が3か所で実施しているサンゴ礁の再生事業には、一括交付金など11億円が当てられています。来年度以降もこの事業を継続するには予算を確保することが必要なのです。
しかし、研究者からは、こんな声も上がりました。
復帰前から沖縄のサンゴ礁を研究してきた西平守孝名桜大学名誉教授は、重いメッセージを投げかけました。
西平守孝名桜大学名誉教授「お金がなければできない。お金がなければやらない。そんなんだったら出来るはずがないし、続かない。解決できる道筋が一つあるとすれば、それは関わる人がもっと増えるということを目指した方がいい。面白がって取り組む人が増えるのを期待する」
沖縄の資源であるサンゴ礁の再生事業。これを一過性のものにせず、継続していくためには、研究者や漁業者だけではなく地域の一人一人が意識を持って関わっていくことが求められています。
潜水技術が確立されて、およそ100年。サンゴ礁の研究もここ50年で少しづつ進んできましたがまだまだわからないことが多い分野です。恩納村で成功したのは3ヘクタール。
白化などで失われたものと比べると小さな規模ですが、こうした取り組みを続けることは世界有数のサンゴ礁を抱える沖縄の使命と感じます。