さて、シリーズでお伝えしている「人材不足沖縄」です。きょうは、県も、観光業界に次ぐ、基幹産業として、その振興に力を入れている、IT業界における人材不足の現状と課題克服にむけた動きについてお伝えします。
那覇市にあるIT企業。ウェブサイトの作成や、インターネット広告などの事業を行っています。従業員は95人。多くは、ウェブサイトを作成するライターや、デザイナー。
この会社が沖縄に進出したのは2年前。人材確保の難しさは、この2年間で大きく変わりました。
堤さん「その時点での応募数が98名、3月4月で98名、かなりの人数で、本当に毎日面接が2、3件入ってるような慌ただしい毎日だったんですが。2016年の3月、4月と比べると43名ぐらいに減っているので、半数以下になっているような状態で、まあやっぱり採用の厳しさを今現実で感じてますね」
プログラマーなど、一定のスキルを持ったエンジニアの採用は、さらに厳しいと言います。
堤さん「そもそも応募がほとんど無いといった状況ですね。」
人材をどうやって確保するのか。
この会社では、実績に応じて給与を上げる”インセンティブ制度”の導入の他、残業ゼロを打ち出したり、週3日から勤務できるようにするなど、働き方を見直しました。
その結果、こんな社員も…
榎森さん「どうも、リップサービス、榎森です。」
QABの「お笑いバイアスロン」で、先月見事3連覇を果たしたお笑いコンビ、リップサービスの榎森さん。2年前からウェブサイトのライターとして活躍しています。
榎森さん「こっち、いろんな話題を記事にするんで、なんか、話題に対するアンテナが広がった感じがしますね。最近、整形手術の記事書いたんで…、もう僕、プチ整形の知識は今沖縄1だと思いますよ本当に!」
芸人活動との両立も、うまくいっているようです。
堤さん「IT企業はハードワークというイメージを払拭させていくためにも、こういったことは取り組んでいきたいなというふうに思って進めております。」
きのう、那覇市内で開かれた会合。
企業担当者「一社だけで動くのは、すごく限界を感じていて」企業担当者27-325秒「みんなで考えて、動くというのはすごく有意義じゃないかなと思います」
参加しているのは、県内のコールセンターや情報サービス業の人事担当者。
企業担当者「求人広告を出してもなかなか応募者の集まりが悪いですとか。他社さんの状況などを見させていただいても、時給が値上がりしている傾向は見られますので、どこまでこの状況が続くのかというのは、すごく懸念してます。」
採用や人材育成といった、人事の課題を、企業の枠を超えて克服できないか。業界では、今年4月に協会を立ち上げました。
協会担当者「なかなか求職者の方たちと個社では会えない部分が、協会を通してですと広くチャンスをつかめるのではないかと思っています。」
人材不足を、長い目で解決していこうという動きも出てきました。
先月、県内で開かれたプログラミング教室。
参加しているのは小学生。ゲームを動かすためのプログラムを、自分たちで組んでいきます。
女の子「面白い、ちょっと難しいけど」
この講座を仕掛けた大森さん。以前は、大手IT企業で5年間、採用を担当していましたが「ITの可能性を伝えたい」と考え、転職し、新規事業としてこの試みをスタートさせました。
大森さん「ITは決して難しいだけじゃなくて、いろんな分野で使われたりとか、誰かの役に立つものを作るとか、それで誰かが喜ぶっていうことをゲームと同じように体験してもらえれば、沖縄もすごく人材が生まれたりとか、世界中で活躍できる人材が生まれるといいなと思ってます。」
これからは取材に当たった実近記者に聞きます。IT業界でも人材不足は深刻ですね。
そうですね。特にこの2年で大きく変わったという話がありました。
こちらのフリップをごらんいただきたいんですが、沖縄へのIT企業の立地はこの10年でものすごく増えています。しかし、この数年は有効求人倍率も比例するように急激に上がってきています。つまり、仕事は増えて、求人も増えますが、もう仕事を求める人がいなくなってきたという状況になっています。
企業も様々な対策をとっていますね。
そうですね、大きく整理すると、雇用条件の改善などはたらく質の向上を進めて、採用や離職の防止につなげる。次に、業界団体が連携して、効率のよい採用方法や、人材育成の仕組みを取り入れようとしています。
また最後には子供のプログラミング講座がありましたが、次世代の育成をしっかりと進めていく、という取り組みがありました。
いずれも大切な取り組みですね。
そうですね、例えば沖縄にはまだまだ、出産を機に離職された女性がいるといわれています。こうした方が安心して働ける仕組みを見直してみるというのは大切な方法です。
また、最後にありましたが、IT本来の可能性や面白さを分かってもらえる人材を若いときから作っていくというのもとても大切ですね。ITというのは、本土から離れた沖縄にとって可能性のある産業ですから、新しい人がどんどん生まれてほしいですよね。