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先週もお伝えしましたが、深刻化するサンゴの白化現象。事態を重く見た環境省も、詳しい調査に乗り出しました。

一体どれほど深刻なのか。先週、石垣島の海に潜ったQABのカメラは、1カ月前との変化を克明に捉えました。向かう先は、石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁・石西礁湖です。すでに9割が白化したといいます。

野島「こちらは過去の大規模な白化現象でも、比較的影響の小さかったポイントですが、海面からは、ご覧のように白くなったサンゴが確認できます。」

Q+リポート サンゴの白化 被害の深刻さは

どれだけ白化が進んでいるのか。1カ月ぶりに、同じ場所に潜ってみました。比較的深めの水深10メートル。すると、前回は、まだ健康に見えたサンゴたちも海底一面、真っ白に変わっていました。

ほぼ健康だった1カ月前は、白くなったサンゴはほとんど見られません。急激に白化が進んだことが分かります。

サンゴは、光合成する「褐虫藻」と呼ばれる植物プランクトンと共生していて、栄養などを貰っています。白化は、この茶褐色の「褐虫藻」が、海水温の高い状態が続くことなどで失われ、サンゴの骨格が透けて白く見える現象です。

この状態が、数週間から1カ月ほど続くとサンゴが死滅すると言われています。

Q+リポート サンゴの白化 被害の深刻さは

こちらは環境省の水温データです。6月下旬以降、白化すると言われる30度を超え続けているのが分かります。また、日本に近づいた台風ですが、この日、発生した13号以外、いずれもこの海域に近づくことはありませんでした。環境省は、被害があらゆる種類のサンゴに及んでいるとして新たに11種類を対象とした白化のチェックを始めました。

環境省石垣自然保護官事務所伊藤珠実さん「種によって白化の耐性は異なっていて、高海水温の状況が落ち着いたころには、死なずに持ちこたえれば回復している種もあると思う」

Q+リポート サンゴの白化 被害の深刻さは

しかし今回は、その期待を裏切るような状況も見られました。これは、比較的白化しにくいと言われるハマサンゴと言う塊状のサンゴです。成長も比較的遅いとされこの大きさを見る限り過去の大規模な白化にも耐えたとみられています。

しかし、今回は、この群体も真っ白に。深いところでは、最終的には回復することも多いとされますが、今回は、一部に藻が生えて部分的に死滅しているのが確認できました。

琉球大学理学部中村崇准教授「なかなか白化しないと言われる種類で、真っ白になっている群体が特に目立つということが気になります。被害と言う点から言うと、おそらく98年に準じるかそれに近い被害が出るのではという気がする」

Q+リポート サンゴの白化 被害の深刻さは

これは、石西礁湖の海底をどれだけ生きたサンゴが占めているかを縦軸で示したグラフです。環境省が毎年、125地点を調べた結果です。これをを見ると、1998年と2007年に大規模な白化現象が起きたことで、サンゴが大きく減っていることが分かります。大規模な白化は、9年に1度、海水温上昇のサイクルとともに起きていました。

さらに、2007年以前には、一度回復しかけたものが、その後は、思うように回復しきれていないことも明らかになりました。

琉球大学理学部中村崇准教授「今後この白化の周期と言うのが、短くなっていくという考えもあるので、そうするとサンゴ群集が完全に復活しないまま、白化が繰り返し行われていくという、非常に厳しい状況になっていくのではないかというのが非常に心配するところ。」

こうした状況は、浅い場所でも繰り返されています。1か月前には一面真っ白だった海底のサンゴが一変。一見、元通りに回復したようにも見えますが、こちらも表面には藻が生えて殆どが死滅していました。

野島「サンゴの墓場ですね。浅いところは本当に6割から7割死んでいる。白化していた範囲がさらに広がって深いところまで白化している。そんな状況」

Q+リポート サンゴの白化 被害の深刻さは

琉球大学理学部中村崇准教授「来年例えば産卵の時期なんかに産まれる子供の量と言うのは、格段に下がってしまうと言う風に考えられますし、今回は小さなサンゴも白化してやられているのも多数みられますので、この被害、影響が長く続くのではと言うことを心配します」

相次ぐ大規模な白化にサンゴ礁全体の「回復力」が追いついていないのではないか。身近な石垣島の海は急激な環境の変化にSOSを発しています。