「(ヘルメットよいか?)ヘルメットよし!(アゴひもよいか?)アゴひもよし!(服装良いか?)服装良し!」
県立病院が建つ予定の建設現場に早朝から姿を見せた、建設会社の新人、19歳の比嘉耕平さん。現場代理人として独り立ちすべく、入社以来5か月間、新人研修を重ねてきました。この現場が実戦デビュー。今は、研修の最終段階です。
知念さん「OK。こっちに印つけて。で、ちゃんとワイヤー点検色の白色、まいてるか確認して、警報機もちゃんと使用してるから。」
比嘉さん「はい。」
知念さん「OKということで確認。」
比嘉さんこれですか?はい。」
比嘉さんに付きっきりで、手取り足取り指導するのは、1年先輩の知念さんです。
知念さん「困った時にはメモして、後から自分のところにきて、『これ先ほどの、どんなでした?』と疑問に思ったことは聞いてきますので、これからどんどん伸びていくと思います」
比嘉耕平さん「本当に職人さんのほうが仕事も分かっているので、どんどん把握していかないと今後困るので、職人さんの作業をまずは覚えたいです」
若者がなかなか定着しないという課題を抱えてきた建設業界。県内大手のこの会社も、例外ではありませんでした。
島袋隆 建築部長「昔は、職人気質というか、数名の採用者とってですね、現場に合う、合わないが出て、離職者もあったんですけども」
若者が定着しない理由の一つに、業界の「仕事は見て覚えるもの」という昔ながらの風土があり、採用した人の半分も定着しない状況に直面したといいます。
この状況を打破しようと業界は、6年前、育成方針を転換。建設業協会は、会員企業から2か月間 新入社員を預かり、社外研修を受けさせる取組みを始めました。それぞれの企業の風土ではなく、業界全体として若手を育成しなくては、という、危機感から行われた改革でした。
新入社員は、3か月目以降、各企業に帰ってからも、プログラムに沿って様々な技術を学び、少しずつ現場に入っていきます。
知念さん「最初入社して半年間はですね、色んな現場に配属されてですね、その現場の仕組みにあった仕事のやり方を、先輩、上司から教わって。この半年間でいっぱい、学べることを一杯学んで、そっから現場配属という形になりまして」
比嘉耕平さん「今自分は正直、俺について来いみたいな感じで言われたら、何も理解できないと思うので、ちゃんと1つ1つ細かく教えてもらえたら、自分としても勉強になりますし、いいと思います」
研修を修了した社員の離職率は、およそ10%程度まで改善。
また新人研修に業界全体で取り組むことで、各企業が育成にかける費用を抑えられるメリットもあり、研修の参加者はどんどん増えています。
比嘉耕平さん「10年後は1級建築施工管理士(の資格)を取れるようになっていればいいと思います。最終目標がですね、人を感動させることができるような建築物を建てることが、自分の最終目標です」