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中川「楽園の海案内は水中ビデオカメラマンの長田勇さんです。よろしくお願いします。きょうは「サンゴの危機を考える」です。先日Qリポートでもお伝えしたサンゴの白化現象のことですね。」
長田「今年の沖縄は、台風がほとんど来ないですねレジャーには最適なんですが、海の中ではサンゴが悲鳴をあげています。」
中川「ではVTRご覧ください。」
長田「8月の前半に石垣島周辺の海を潜って来たんですが、ダイビングショップのスタッフが皆口にするのが、《サンゴが危ない!》でした。潜ってみると・・・水深3mのところにアカヒメジがたくさんいます。」
中川「ここでは異変はあまりわかりませんね。」
長田「はい、水深1Mほどの浅瀬に上がってみても、何も違和感はありません。透明度もよく、一見普段と変わらない様に見えますが・・・この時の水温は31℃。」
中川「高いですね。」
長田「そうなんです、この水温が続くと、サンゴに共生している褐虫藻が逃げ出してしまい、色が抜け始めるんです。」
中川「サンゴの骨格が透けて白く見える現象のことを言うんですよね。」
長田「こちらのサンゴ、見て下さい。トゲサンゴの種類は水温の上昇に弱く、他のサンゴより白くなるのが早いんです。」
中川「サンゴによって水温上昇に強い、弱い、があるんですね。」
長田「そうなんです。アップで見ると、部分的に白くなっているのが分かりますよね。」
中川「分かります!」
長田「こちらの被覆状のサンゴも白くなってます。このサンゴ、元は茶色。かなりの割合で白化してます。カクレクマノミが住むイソギンチャクにも、褐虫藻が共生しているので水温が高くなると、白化します。」
中川「イソギンチャクまで!。」
長田「でもイソギンチャクは自力で餌を捕ることが出来るので白化したからと言って死ぬわけではありません。」
中川「サンゴはどうして白化で死滅してしまうのでしょうか。」
長田「サンゴは褐虫藻が光合成することによって栄養を得て、生きています。自力でもプランクトンなどを捕食出来ますが、量が少ないため、褐虫藻の光合成が無いと死んでしまうんです。」
中川「そうなんですね。ここで場所が変わりました。」
長田「波は高かったんですが、流れの無い水深1mのところに行ってみました。すると、およそ8割のサンゴが白化していました。」
中川「なんてことでしょうか。」
長田「この場所の水温は33℃。他のポイントと比べて2℃ほど高い水温です。リーフの中や、流れの無い浅瀬は、さらに水温が高いんですね。」
中川「褐虫藻が逃げた時点で、サンゴは死んでしまうのでしょうか。」
長田「いえ、逃げだした状態が10日〜2週間続くと死んでしまうようです。今の状態だと、水温さえ下がれば褐虫藻が戻ってきてくれそうですが、このままだと危ないです。」
中川「深刻ですね。」
長田「中には白化が進んでいるサンゴも有りました。白化したサンゴに、既に藻が生えてます。残念ながら、褐虫藻が戻ってくる事はありません。」
中川「石垣島以外の場所も気になりますね。」
長田「先週、沖縄本島近くの海に潜ってみました。」
中川「こちらがそうですね。白くなったサンゴが目立ちます。」
長田「石垣周辺の海と比べて2週間遅れで、同じ状況となってしまっています。8月に入って大雨が何度か降った影響で、若干水温下がったみたいですが、まだまだ高い状態が続いています。」
中川「サンゴが死滅すると何が困るかというと海の生態系が変わってしまうからと勉強しました。たくさんの海の生物がサンゴと密接な関係を持って生きていますからなくなると大打撃です。また健全なサンゴ礁は観光資源の場としても重要です。」
長田「自然の防波堤として島を波浪から守る働きもありますからね。」
中川「サンゴにとっては、台風がきて、深い所の冷たい海水でかき回してほしいところですね。」
長田「そうですね。今後もしっかり見守ってまた報告したいと思います。」
中川「ありがとうございました。楽園の海でした。」
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