本部町の、海洋博公園。公園内で育てられたウミガメを放流するイベントに、350人を超える人たちが集まりました。
飼育員「しっかり持とうか。」
男の子「ダンスしてる、ダンスしてる」
観光客などにも人気のこの放流会で、大人たちに交じって参加しているのは、地元・本部町の瀬底小学校に通う子どもたち。コガメたちを1年間観察し、成長を見届けてきたのです。
瀬底小4年 上地いちかさん「放流するのはとても寂しいですが、ウミガメが大きくなってまたこの沖縄の海に戻ってきてほしいと思います。最後に、またこの海に戻ってこれるように、きれいな砂浜を守っていくことを約束します。」
本部町の子どもたちにとって、地元の砂浜で生まれ育つウミガメは身近な存在。産まれた時には体長わずか5センチほどだった子ガメは、1年で18センチほどに成長しました。
瀬底小4年 上地いちかさん「最初はこれの…手の平くらい。これ以上大きくなったら持てません」
男の子「(育てたカメは、なんていう名前ですか?)ボルト!(え?)ボルト!(じゃあ足が速い?何でボルトっていう名前にしたの?)暴れん坊だったから」
久田記者「美ら海水族館がある本部半島の海には、ウミガメが散乱する貴重な自然環境が残されています。海洋博公園の敷地内にあるこちら、ウミガメ育成プールで、こどもたちは1年間、ウミガメの生態を研究してきました」
年間340万人が訪れる美ら海水族館があり、観光のイメージが強い海洋博公園ですが、実は、世界に8種類しかいないウミガメのうち5種類を飼育し、繁殖にも成功している世界的にも有数の研究施設でもあります。
子どもたちの指導にあたった若井さんに話を聞きました。
学芸員・若井万里子さん「実際に生徒たちが暮らしている地域だったりとか海洋博公園の砂浜で産卵のあと、卵を実際に観察してもらう、というのをやってそのウミガメを1年間、毎月、ほぼ毎月ですね、甲羅の長さや幅、体重を計測して、約1年後にそれを自分の手で放流すると。」
こちらは、およそ1週間前に孵化したばかりのアカウミガメとアオウミガメの赤ちゃん。
若井さん「甲羅全体の形なんですが、お尻のほうがすぼんでいるのがアカウミガメで、アオウミガメは全体的に丸い形をしています。もっと分かり易いのがお腹側です。おなかがアオウミガメは真っ白なんですが、アカウミガメは黒いですね。」
成長すると体重150キロを超すウミガメも、小さな卵で産まれます。砂浜の環境は、ウミガメの赤ちゃんにとってとても重要です。
学芸員・若井万里子さん「深さのあるしっかりとした砂浜、自然の砂浜が残っているというのが海ガメにとってはいい砂浜ですね。瀬底の砂浜は実際にウミガメも産卵しに来ていますので、またあのゴミも地域の人たちが拾っていたりとか、その環境を残すために地域の方々が、協力してやっている場所なので、今後もしっかり残していきたい場所だなと私は思いますね。」
人間とウミガメが共存する生活環境を守るために、出来ることはないか。ウミガメの世話・観察が進むにつれ、子どもたちは、地域の海の自然を守ろうという意識が育まれていくのを、若井さんは肌で感じたと言います。
学芸員・若井万里子さん「沖縄には陸にも海にも貴重な生き物がたくさんいる、貴重な自然がたくさんあるので、16ウミガメだけでなくて他の生き物にどんどん目を向けて、広げていってもらえたらいいな」
ウミガメを通して、地域の自然の大切さを学んだ、瀬底小学校の子どもたち。
その取り組みの成果は、今月末にQABが主催する「こども自由研究」で披露されます。お楽しみに。