きのうの夜、翁長知事が緊急の会見を開きました。内容は、きのう知事が「不意打ちのようだ」と表現した高江のアメリカ軍ヘリパッド工事に反発するものでした。
ここからは、アメリカ軍の北部訓練場に建設が予定されるヘリパッドに関する問題について、記者解説を交えてお伝えします。久田記者です。
はい、北部訓練場は、ジャングル戦闘訓練などが行われる海兵隊施設で、20年前に、普天間基地とともに、日本に返還されることが決まったアメリカ軍施設です。返還される面積はおよそ4000haと広大です。
今回の工事再開は、返還されてもなお残る訓練場内へヘリパッドを移設する工事なんですが、建設予定地に隣接する東村高江区の住民らは、オスプレイが使用するこのヘリパッドが完成すれば、生活環境が破壊されると訴え、一部のゲートを塞ぐなど、抗議行動を続けているんです。
その中でのきのうの工事へ向けた動き翁長知事の会見と合わせご覧下さい。
参議院選挙から一夜明けたきのう。アメリカ軍、北部訓練場のメインゲートから、重機や工事用の資材などが搬入されました。
翁長知事「選挙が終わって沖縄の民意がしっかり示された数時間後からこのようにして用意周到にできたものをですね、すぐ1日で手続きを始めていくということそのものが沖縄県知事として容認しがたい」
選挙が終わって半日もたたない、早朝6時前のできごと。まさに「不意打ち」でした。その後、沖縄防衛局の職員が、環境アセスや、赤土流出防止条例に関する書類を県に提出。工事の関連手続きも、一挙に進めます。
さらに国土交通省は、住民らが、一部のゲートを車などで塞いでいることについて、県に対し強い対応をするよう勧告しました。
混乱が続いてきたアメリカ軍のヘリパッド建設問題。工事が強行されれば、辺野古に加え、国と県の対立がさらに深まる懸念もあります。
一方、翁長知事はきのう住民の反対の声を無視した国による工事の進め方、そのものは批判しましたが、ヘリパッドの建設についての是非は明確にしていません。
翁長知事「ストレートに、単純にこの質問に答えるというのはなかなか難しい。その前提としての信頼関係というものがいかに大切かといことも分からないでですね、沖縄にこういう形で基地がおかれるというのは、私たちからすると容認しがたい」
翁長知事は、今回のやり方は国と県民との信頼関係の問題だと批判しています。高江の問題に対する県の対応が実は注目されているんですねそれはなぜかと言うと、基地負担軽減を求める知事としては、広大なアメリカ軍施設が返還されることに対しては賛成の立場です。
しかし、今の条件のままヘリパッド建設を容認すれば、高江の集落周辺にヘリパッドが集中し、基地負担を押し付けるかたちになってしまう。なおかつそのヘリパッドを利用するのが県が配備に反対しているオスプレイということで苦渋の判断を迫られているんですね。
新たなヘリパッドの建設は、96年のSACO合意の返還の前提条件となっていますが、ただ、高江集落へのヘリパッドが建設は住民には伏せられたままでした。
そこに、県も反対するオスプレイが沖縄へ配備されこのヘリパッドが使用されるということですから高江の住民は納得していません。それを踏まえると翁長知事の姿勢は当然とも言えます。
きのうの会見でも、翁長知事がそのような質問は相次ぎましたが、立場は明確にはなっていません。今後どのような説明がなされるか注目です。