中川「楽園の海案内は水中ビデオカメラマンの長田勇さんです。よろしくお願いします。きょうは「サンゴの産卵2016」です」
長田「はい、私のライフワークでもあるサンゴの産卵。今回も立ち会ってきました。」
中川「先日にもニュースでも第一報を取り上げたんですが、今回はたっぷりと見ることができるんですね。楽しみです。生命の神秘、サンゴの産卵。早速VTRをどうぞ。」
長田「5月19日、午後6時。石垣島・伊原間の船越漁港からボートを出しました。」
中川「この時間でも大分明るいですね。」
長田「午後6時40分にポイント到着です。平久保崎灯台近くのインリーフにボートを停めて、夜が来るのを待ちます。」
中川「いよいよ海の中へですね。魚達も寝ているんでしょうか。」
長田「そうなんですよ。魚達もも気持ち良さそうに眠りに入っていました。」
中川「さて、いよいよ待ちに待った産卵でしょうか。」
長田「はい、午後9時35分。ミドリイシの仲間が産卵を開始しました。」
中川「ピンク色の卵がどんどん出てきていますね。」
長田「まわりのサンゴも触発されて、次から次へと産卵します。」
中川「何度見ても美しい光景です。こちらは、サンゴのアップです。卵をよく見ると、カプセル状になっているようです。」
長田「はい、ポリプから生まれた卵はカプセル状で「バンドル」と呼ばれ、中には精子と卵子が入っているんですね。バンドルは水面ではじけて、他のサンゴの卵と受精します。その後、2、3日浮遊し、一生涯暮らす安住の地を見つけ住処とします。」
中川「なるほど、そうなんですね。続いては…わー大きい!」
長田「はい、午後9時55分からは直径3mもあるテーブルサンゴも産卵し始めました。」
中川「すごい!ピンク色の卵が一面に広がって神秘的です。今年の産卵の周期はどういった状況なんでしょう。」
長田「八重山地方のミドリイシサンゴの仲間は、4月の満月大潮の時にも若干の産卵はあったものの、大半のミドリイシサンゴは、今回の5月の満月大潮に集中して産卵したようです。」
中川「5月の大潮で多数報告されているんですね。」
長田「はい、八重山地方の産卵は、5月15日あたりから確認され始め、竹富島や名蔵湾では18日、平久保崎灯台周辺では19日と20日に、まとまった産卵がありました。」
中川「沖縄本島のサンゴの産卵はまだ確認されてないんですか?」
長田「水温が八重山地方と比べて2〜3℃低い沖縄本島やケラマ諸島では、5月22日の満月より後の産卵となりました。本島では24日頃から、ケラマ諸島では27日頃から産卵が確認されてます。」
中川「そうなんですね。」
長田「サンゴの卵はこうして水面に上がっていくんですが、まるで宇宙を漂っているような気持ちになるんですよ。水面に浮かんだ卵はまるで天の川のように見ますよね。」
中川「小さいですけど、満月まで見えてとても神秘的ですね。」
長田「素敵でしょう?私も好きな光景なんですよ。」
中川「今回もとても素敵な光景でした。沖縄本島ではもう産卵は見られないんですか?」
長田「今月の満月前後に産卵するとみられ、今週末から来週にかけて見られそうですよ。」
中川「そうなんですか。これからが楽しみですね。今日は、ありがとうございました。楽園の海でした。」