名物監督 最後の夏
ことしも始まります、「めざせ甲子園」です。来月18日に開幕する夏の高校野球沖縄大会、その出場校をきょうから開幕までの3週間、15校を紹介していきます。1校目のきょうは、八重山商工です。あの名物監督が最後の夏を迎えることが決まり、チームは有終の美を飾るため夏に向かっています。
まだ夜も明けない、朝5時。丸太を抱えながらのランニングから八重山商工の長い1日が始まります。トレーニングも兼ねた朝練習はおよそ2時間。
午後は授業が終わり次第、グラウンドに出てバッティング。8時半頃まで、みっちり練習が続き、その後も選手たちは残って自主練習。この練習量が、勝つ自信につながっています
森田虎之介選手「キツイっす…正直キツイっす…(笑)朝が早いんで…でも3年目なのでそんなこと言ってられないので、あとは頑張るだけですね。」
この練習で鍛えられた戦力は、迫力十分!
クリーンナップを任されるのは3番・キャプテンの仲嵩勇雅、5番・どっしりとした重量級バッター・森田虎之介の3年生コンビ。そして、その間で4番を張るのが、平良海馬。2年生ながら、冬の競技大会で打撃部門1位に輝いた長距離バッターです。
平良海馬選手(2年)「ここだったら、部室の屋根にあたって、全員部室の人が出てきたこともありま。(Q.何メートルくらいかな?)130mくらいです。」
投手陣でも、平良海馬が急成長。MAX145キロのストレートは威力十分。
この2年生投手の台頭に刺激を受けているのが秋・春とエースナンバーをつけた黒島志門。オーバーとサイド、2種類の投げ方を使い分ける技巧派のピッチャーでタイプの違う左右の投手が揃い、戦力は充実。
今月行われた県の商業高校大会では他の強豪校を抑え優勝を果たすなど勢いが増す八重山商工、この夏、1つの節目を迎えます。
仲嵩勇雅主将「監督もことしが最後なので自分たちが3年目で今まで以上に気合が入っていて。」
朝練習が始まるさらに前の、午前4時半。1人静かに座っているのが、伊志嶺吉盛監督。チームを13年率いた名物監督もこの夏が最後の指揮となることが決まりました。
伊志嶺吉盛監督「最近はやはり残り少ないということもあって、いろんなこのグラウンドで起きたことをいろいろ考えることもあるし。」
伊志嶺監督率いる八重山商工は2006年、現在千葉ロッテで活躍する大嶺祐太を擁し春夏連続で甲子園出場。沖縄の離島勢初の快挙で、高校野球界を沸かせました。
現在プレーする選手たちも、監督のもとで野球がしたいと、八重山商工の門をたたきました
新田圭一郎選手「勝つんだったらこんなにキツイ練習でないと勝てないと思うので。商工に来てよかったと思います。」
そのうちの1人、新田圭一郎は幼い頃、事故で左目を失明。それでも甲子園への思いは諦められず、本島の美東中から八重山商工にやってきた選手。
新田圭一郎選手「甲子園に行くことしか考えていないので練習を毎日頑張っています。」
野球への熱い思いを持つ選手たちが集まってくる八重山商工。そんな選手たちに、監督から厳しい言葉が飛ぶのもお馴染みの光景となりました。
伊志嶺吉盛監督「ふざけてんのか、お前は、やり直しやれ。走塁で迷惑かけたことあるだろ、多くないか?だったらちゃんとやれよ。なんでお前らそういうところわからないんだろうな。」
森田虎之介選手「逆に優しい言葉でアドバイスされても、拍子抜け…病気なんじゃないかと心配になるんですけど。」
黒島志門選手「自分たちの父親って言ってもいいかなと思います。」
伊志嶺吉盛監督「とにかく高校野球は最後ですからね3年生にすれば同じような気持ちで、とにかく最後の夏にかける気持ちは一緒だと。今言ったようにきつい言葉もかけてきたので最後は自分たちがやってきたことをそれをしっかりやってくれれば、満足します。」
練習量の多さも、厳しい言葉もすべては夢の甲子園のため。「最後の夏」にかける思いは、どこにも負けない八重山商工が有終の美を飾る夏を誓う!
仲嵩勇雅主将「しっかり自分たちがチーム一丸となって監督を甲子園の舞台に立たせられるように頑張りたいと思います。」
きょうからニュースQ+の中で毎日、めざせ甲子園お送りしていきますあすは、辺土名高校です