今日は、大学でドキュメンタリー制作に挑む、ある女性を紹介します。
彼女が密着しているのは、聴覚障害と向き合いながら太鼓を演奏する、「琉球聾太鼓」。彼女が彼らに密着した理由とは・・。
体育館に響きわたる太鼓の音。力強く勇壮な姿。太鼓を叩くのは、全員、聴覚に障害がある「琉球聾太鼓」のメンバーです。聞こえない「音」の変わりに、彼らは太鼓の「振動」でリズムを合わせています。
そんな彼らにカメラを向ける女性がいました。沖縄大学に通う、小渡佑希子さんです。彼女は今、大学の授業でドキュメンタリーを制作するため、聾太鼓のメンバーに密着しています。
実は彼女も生まれつき、両方の耳が聞こえません。小渡さんと一緒に撮影しているのは、同じく聴覚に障害のある長田さんです。
長田さん「いくよ。3秒前2、1」小渡さん「打ち合わせしていますが、どんな打ち合わせをしていますか?」
彼女が、同じ聴覚に障害のある人たちを取材するのは、何故なのでしょうか。
小渡さん「県内の中に聴覚障害者が活動することを皆知らないと思います。目標を持って、一生懸命頑張って練習しているみんなを注目したいと思って。」
同じ障害がある仲間が頑張る姿を追いかけたい。この気持ちが彼女の原動力になっているようです。
いよいよ本番。彼女の撮影にもよりいっそう力が入ります。彼女はインタビューをする際、相手の唇に集中し、言葉を読んでいます。相手の口の形を読んで、言葉を理解し、思いを交わします。
実際取材されてみていかがでしたか? 琉球聾太鼓・牧志さん「彼女たちが他の聞こえない人たちにどんどん広めていく、そういうことで私たちも嬉しいし。」女性メンバー(通訳)「ろう者からのインタビューは初めてだったので、気持ちが通じ合ったような気がして、とても嬉しいです。よかったです。」
この日は、詰めの編集作業に入っていました。
小渡「長田さんは文字おこしだけで終わって私に渡して!おっけー?原稿は私がうつから!」
具志堅非常勤講師「映像ドキュメンタリーっていうのは、音と映像で作るものなので、耳が不自由というのはすごいハンディですけど」「集中力ですよね。」「人の倍、3倍くらいに集中力がないとやっていけないのですごいもんだと思います。」「本当に頑張っていると思います。」
彼女がドキュメンタリーを作るのは、耳のきこえない世界で生きる人たちを知ってほしい。その思いからです。
小渡さん「社会にたいして(聴覚障害者が)一緒に活動していくことで」「障害者と健常者一緒に成長していく」「健常者には少しでもろうの文化を理解してくれたらいいなと思っています。」