戦後70年が過ぎて、次の世代へ、沖縄戦をどう継承するのかが課題になっていますが県外の大学が10年間続けてきた取り組みがありました。秋山記者のリポートです。
雨の中、慰霊塔や野戦病院壕跡を巡り祈りを捧げる若者たち。広島経済大学の学生たちです。「オキナワを歩く」と題された研修旅行は、スポーツ飲料と栄養補助食品を頼りに激戦地南部を中心に3日でおよそ50キロの道のりを歩きます。
岡本教授「良く続いたなと。忘れてはいけないものがあるというどんどん思いが強くなる」
沖縄戦当時、戦火を逃げ惑った人々の思いを追体験しようと2007年から行われています。
学生「軽い気持ちではなく昔のことを見つめられる気持ちで歩きたいと思います」「当時の人たちのことを考えながら一歩一歩進んでいこうと」
集団にはおよそ40人の学生と一緒に歩く一般の参加者もいました。
仲真悟さん(千葉から初めて参加)「両親がひめゆりと鉄血勤皇隊の生き残りなので」
渡辺あきこさん(広島から9回目の参加)「父がここで戦死しているんです。26歳で。父がどんなにして闘ってどんな風に死んでいったのか知りたいと思って」
白梅、ひめゆり、梯梧、瑞泉、積徳、そしてなごらんと元女子学徒の証言を聞きながら、失われた命に祈りを捧げる旅。
岡本教授「広島を大変な悲劇があったところですが沖縄の悲劇も本で読んだりではなくて踏みしめることで重さを感じてほしいなと」
歩き初めて8時間を過ぎると、学生たちにも疲れの色が出始めます。
学生「しんどいです」「思っていたよりきつい(Qお腹すきませんか?)すきますね」
約10時間かけて、きょうの最後の目的地八重瀬岳の野戦病院壕跡に到着。そこで1回目から講話を続けている元白梅学徒の中山きくさんが出迎えます。
中山きくさん「平和でなければ人間はどんなに恐ろしいことをするなというのを私たちは経験した。みなさんどんなことがあっても戦争だけはしないと。これからの日本の平和を守る役目を皆さんにバトンタッチします宜しくお願いします」
戦争を知らない自分たちに何ができるのか自問自答しながら、再び歩き出しました。
学生「平和について短い時間でしたが考えることがいろいろありました」「これからは自分達が継承する番なのかなと」
歩くこと、お腹が空くこと。それを追体験する中で知る戦争の惨さ。頭で考え、体で感じた学生たちはきっと忘れない経験となるでしょうね。