以前、この番組で保育園の園長先生がボクサーとして再びリングに挑もうと決意したドラマをお伝えしましたが、きょうは子どもたちの声援を受け、実際に試合に挑んだ園長先生のその戦いの結果をお伝えします。
リング。そこは戦う覚悟を持った者だけが立てる場所。その場所に20年ぶりにあがるのが元プロボクサー、下地要平さん。
下地要平さん「緊張してる…やばい…、緊張してるな…」
この緊張は、リングにかける強い思いからでした。
下地さんの本職は、那覇市にある保育園の園長先生。一見強面の顔も、子どもたちの前では一変、子どもたちからも大人気です。
園児「優しい!(どんなところが優しいの?)全部!」
今回、下地さんがボクシングへの再挑戦を決めた理由に、この子ども達の存在がありました。
19歳でボクシングのプロライセンスを取った下地さん。しかし、その達成感のあとはボクシングへの意欲が消え、結局、一度もリングに上がることはありませんでした。自分は、やり遂げていなかったのではないか…。その思いが心に引っかかったままでした。
夢に挑む背中を大切さな子ども達に見せてあげたい。リングに上がる決意を伝えました。
下地さん「みんなが今から大きくなった時、挫けそうになった時、諦めないで勉強でもスポーツでも頑張ってほしいわけ。それで先生はきょう、お約束をします。みんなが頑張れるために、先生から今から練習がんばって試合に勝つ為に一生懸命がんばります」
試合当日、会場には先生を応援しようと、園児や学童の子ども達、そして保護者を合わせ、およそ200人が応援にかけつけました。20年の時を経て、夢のリングへ上がります。
3分2ラウンドの勝負。下地さんは序盤、間合いを取りながらもパンチを繰り出していきます。
1ラウンド目はほぼ互角の戦いでした。そして最終ラウンド。対戦相手が激しく攻め立てます。
下地さん「何度か倒れそうになった場面もあったんですけど、耐えて絶対最後まで戦ってやると思っていたので」
不利な状況で進む試合、しかし、戦う園長先生は決して諦めませんでした。
結果は判定へもつれ込みます。
下地さん「負けはしたんですが、ノックアウトされるのとはまた違うので、最後まで倒れないで頑張ったという姿を子ども達が見ていてくれたら、もうこれで満足です。勝ちはしなかったですけど最高でした」
女の子「すごいと思った(どんなところが?)パンチされても立ってたところ」
男の子「後から、パンチを連続で出していたところがかっこよかったです」
下地さん「きょう来てくれた子ども達は何かしら感じ取ってくれたと思うので、それを子ども達が糧にして、今後頑張ってくれたらと思います。結果は負けてしまったんですけど、本当に感無量です。これ以上しゃべったら泣きそうなのでやめておきます」
20年ぶりのリングで見せた園長先生の夢を諦めない姿は、小さなの瞳に、しっかりと焼き付けられているようでした。