きょうは、障害があっても自分で好きな車を運転したいそんな思いを叶える車を紹介します。
これまで、障害を持つ人が利用する福祉車両は、選択肢が少なかったのですが、きょう紹介する「カスタマイズカー」の登場で、福祉車両の世界が大きな変化を遂げています。その魅力と課題をお伝えします。
八重瀬町に住む山川朝教さん(47歳)。小学1年生の娘・琉愛ちゃんと妻マサコさんの3人家族です。
山川さんは2013年2月、突然手足に力が入らなくなる「ギランバレー症候群」になり、寝たきりとなりました。
山川朝教さん「これがその時の写真。いろんな計器に繋がれていました。これがだいたい入院から10日くらいたった後の写真」
一時は命の危険もあった山川さんですが、リハビリを重ね、再びハンドルを握る目標を持っていました。
そんな山川さんの目標を後押ししたのは、カスタマイズカーを手掛けるカーショップ。ここでは福祉車輌の先進地・ヨーロッパから技術などを学び、いち早く沖縄に導入しました。
タイヤランド沖縄・高里健作代表「これまでは人が車に合わせていたんですけど、ある物にしか乗れなかった。ヨーロッパとかそのへんの考え方は、車が人に合わせる。乗りたい車に乗る」
では、カスタマイズカーが出来るまでを!まずは運転者の身体の可動域を見たり、どのような車に乗りたいか希望を聞きます。
山川さん「指はこのくらいですね。で、足はいちおう動きはするんですけど、足関節から下は動かすことはできないので、アクセルブレーキが押しずらい感じ。(Q:脚は?)完全麻痺ではないんですけど、この動きができない」
続いて、筋力測定や脳の反応速度などを測定し、その人に合った車両改造や補助装置を判断します。これで山川さんは、運転能力に問題がないことがわかりました。
山川さん「娘の送り迎えとかで娘の友達とか乗ってくると思う。人を乗せられるくらい、うまくならないと。そういうところも楽しみ」
この後カスタマイズカーはいよいよ組み立て。障害の種別に応じて、アクセルとブレーキの装置も変わってきます。
山川さんが試乗し、操作や乗り心地を確かめて、ついに完成です。
念願だった娘さんたちを送迎する日。緊張の中にも嬉しさがにじみます。
妻・マサコさん「縛られないで自由に行きたい時に行きたいところに行って、食べたいものを食べて人と会ってっていう。本当に普通の生活ができるっていうことは何よりもありがたい」
山川さん「乗り心地いいですよ。片手でハンドルを切るのはけっこう大変だったんですけど、これは全然そんなこともない」
山川さん「私の足です。どこにでも連れていってくれるパートナー」
山川さんは補助金を使ってカスタマイズカーを購入しましたが、市町村によっては、対応がまだ十分でないところもあります。
興味を持たれた方は、購入の際の補助金や免許取得の相談など、紹介したカーショップ内の「モビリティーセンター」で対応しています。