今月13日に行われる宜野湾車いすマラソン。この大会に出場する期待の新星を紹介します。
時折、雨が強く降る陸上競技場。軽快に競技用車いすを走らせるのが、喜納翼さん。
喜納翼さん「地面との自分の距離が近いので、実際のスピードより体感速度が速く感じる。すごい楽しいなと思って。車いすに乗ってもスピード感を感じることができるんだなと思ったら、それが魅力だなって思います」
現在は、障害者のための「ソア沖縄陸上クラブ」で練習を積んでいる喜納さん。先月行われた大分国際車いすマラソン女子ハーフの部で3位に入り、頭角を現すなど、車いす陸上界、注目の選手です。
ソア沖縄陸上クラブ・下地隆之さん代表「(強みは)彼女の体格の良さというのがあります。国内の女子選手には少ないタイプで身長の大きさもありますし、腕の長さというのが車いすをこぐというところにすごく役に立っていると思います」
車輪を大きく回すことができ、車いす競技に適しているという喜納さんですが、競技歴はまだ3年ほど。もともとはバスケットボール選手で高校時代は国体選手に選ばれるほどの実力の持ち主でした。
しかし、大学に進んだ19歳の時、トレーニング中に重さ120キロのバーベルを身体に落とし胸椎を骨折。お腹から下が動かなくなりました。それでも喜納さんは下を向くことはなかったといいます。
喜納翼さん「後悔は正直しています。けがしたあの時、なんであんなことしたかなと思う。落ち込むのは今ではないだろうなって思って。それより先に、何かもっとやらないといけないことがきっと今の自分にはあるんだろうなってその時には思っていたので」
宜野湾市にある喜納さんの職場。福祉車両の製作や障害者の運転支援などをしています
喜納翼さん「これは左手の手動装置といって、足で操作することができない人用の装置になっている。引いたらアクセル、押したらブレーキになっています」
自分の持っている知識を生かせるとあって、やりがいを感じるという喜納さん。目を見張る働きぶりだそうです。
タイヤランド沖縄・高里健作代表「車いす利用者の目線で相談を受けられるので、僕らが気付かないところに翼は気付いて、アドバイスしています。笑顔が良いですね、態度が」
喜納翼さん「車いすで見る視点というのは以前はなかったもの。他にもできることがあるんじゃないかなと。言い方を変えると、せっかく車いすになったのでだからこそ出来るものを探すのもありなのかなと思うようになって」
事故によって大きく変わった生活。しかし、それがすべてマイナスではないということを自分の姿で証明したいと意気込んでいます
喜納翼さん「後ろばかり見ていても前には進めないので、そこは反省点・教訓として自分の中でずっと持っておいて、これから先どうありたいかというのを考えていきたいと思っています。あれだけ大きな失敗をした自分でもこれだけ前を向いていけるので、前に進むきっかけとして見てほしいなと思います」
直近の目標は宜野湾車いすマラソンでの上位入賞、そして、大きな夢は東京パラリンピック。実現に向け、前進あるのみです!